どうなる・どうする? 慢性期で講習会  PDF

どうなる・どうする? 慢性期で講習会

日慢協・武久会長 まずは自院の立ち位置明確に

 協会は2月16日、「今後の慢性期病床を考える講習会」を開催した。出席は54人。一向に診療報酬等が引き上げられず、経営の苦しい状況が続いている療養病床を保持する病院を主な対象とし、「2025年を見据えた療養病床の活用術─慢性期DPCを含めて─」をテーマに、日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏が講演を行った。

2012年度改定で示された国の思惑とは

 12年度改定の特徴は、高度急性期から慢性期を通って在宅へという1本の流れが確立されたが、この流れの途中で渋滞を起こしている医療機関は評価しないベクトルを示したことにある。厚労省は、病診機能の未分化、疾病構造の変化に対応できない病院体系、規模も小さく体系性に欠ける機能未分化の医療機関などが、今日の医療崩壊を招いている。このため、同省は病院機能の高度化・効率化、資源の集中投入、地域における医療機能のネットワーク化、施設完結から地域完結へ、地域包括ケア体制の整備、専門職種間の機能・役割分担の見直しと協業体制の整備といった地域医療再生の構造改革が必要―と考えているとした。

 武久氏は、これまで入院料体系が、主として看護師配置で決められていることを問題視。一般病棟であっても、必ずしも重症度・看護必要度が高い患者ばかりではなく、意外と慢性期の患者が多く入院している。一般病床=急性期と以前厚労省はしていたため、実質、慢性期高齢患者が多くても自称急性期として運営されている病院もあると指摘。逆に、長期入院を扱う病院であっても、重症度・看護必要度の高い患者がいるとした。その上で、今後は、入院経路や処置内容、疾病・病態等も含めて区分されるとの見通しを示した。

日慢協で慢性期ケアミックスを提唱

 25年の医療提供体制について厚労省は、高度急性期22万床、一般急性期46万床、亜急性期・回復期35万床、長期療養28万床としているが、日慢協は高度急性期20万床・急性期25万床(急性期病床群)、回復期15万床・長期急性期30万床・長期慢性期30万床(慢性期病床群)とし、慢性期病床群を、長期急性期病床、回復期病床、長期慢性期病床、障害者病床の4区分にすべきと考えている。これら機能の複数を持つ慢性期ケアミックスを提唱しているとした。長期急性期病床は、ポスト・アキュート患者を対象とし、慢性期DPCの導入を提唱している区分である。長期慢性期病床は現在の医療療養病床が該当すると解説。また、在宅療養後方支援機能も期待されているとし、在宅医療支援がなければ地域包括ケアも成り立たない。在宅での急性増悪時には、速やかに後方病院に支援を求め、治療のため短期入院して在宅に戻る。これにより長く快適に在宅療養を継続できる。そのためには病院でのターミナルケア加算を設け、促していくべきと訴えた。また、これら機能を発揮させるためにも、簡単には高度急性期病院に紹介しない、一定の急性期治療機能を有しておく必要がある。それが病院としての意義でもあるとした。

 さらに療養病床とDPC/PDPSとの入院コストには、1日約5万円の差があると指摘。日慢協が提案する病床数については、慢性期患者が多く入院する一般病床を、慢性期に区分することが含まれるため、結果として大幅な人員とコストが捻出できる。それらを高度急性期や在宅医療の充実に充てることができるとした。

 一般病床の数を競う時代は終わった。これからの慢性期病床は、慢性期機能のどこを担うのか、来る25年に向け、自院の立ち位置をまずは早期にはっきりさせることが必要と、講演を締めくくった。

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