TPP妥結阻止しうる情勢 国際連帯の運動広がる
学習会で確信深める
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉は、昨年中の妥結を目指した米国や日本政府の目論みが外れたかたちだが、現局面をどう見るかについて交渉現場をウオッチしている農民運動全国連合会の国際部長である真嶋良孝副会長に聞いた。学習会は、TPP参加反対京都ネットワークと京都食健連が主催し2月7日にハートピア京都で開催、市民80人が参加した。
真嶋氏は、現局面について閣僚会議が決裂状態であり、「漂流危機」に直面していると説明。参加国の多くが米国型ルールの押し付けに反発し、マレーシアやベトナムなど多くの国が半分以上の分野で同意しておらず、交渉21分野中9分野が難航しており、「国際連帯した運動で妥結を阻止できうる情勢になっている」と述べた。
米国内の情況についても、通商交渉権限を議会から大統領に与えるTPA法案(貿易促進権限法案)に対し、与党・民主党の下院議員の75%が「TPPはアメリカの主権を侵す深刻な懸念」と反対を表明、支持団体550以上の団体も反対を表明している。「米国内でも多国籍企業のために雇用などの規制がより緩和され、主権が脅かされることに危機感が広がっている。足元のおぼつかない状況で横暴な要求をするオバマ政権に各国とも反発を強めている」と指摘した。
その中で、安倍政権は国会決議と公約に反して、ISD(投資家と国家との紛争解決)条項の実施や政府調達の開放、金融・小売サービスの規制緩和などを要求し、米国の腰巾着ぶりを発揮。その背景に、日本が世界第3位の多国籍企業母国であり、経団連がISDは不可欠などと多国籍企業の本性をむきだしにした提案で迫っていることがある。
一方、国際的な農民運動組織である「ビア・カンペシーナ」やアジアのNGO連合組織「もう一つのアジアのための社会運動(SMAA)」などTPP反対の共同が広がっていると報告し、この状況を作り出してきた国内と国際連帯の運動に確信をもち、世論と行動を広げようと呼びかけた。