医界寸評  PDF

高齢者の交通事故のニュースが多い。高齢者が車なしに生活できない街が増え、高齢者のみの世帯が増えたためだ▼警察庁統計では、高齢(65歳以上)ドライバーの死亡事故件数は増加している。免許保有者10万人当たりの事故率は10代が突出して多く、20代、80歳以上と続く。死亡事故率は10代と80歳以上が最多だが、10年前から半減している▼全事故件数では80歳以上が最少で、10代、70代と増加し、20代が最も多い。全死亡事故件数でも10代が最少、80歳以上、70代と増加し、40代が最も多い▼高齢者事故件数増加は、社会の高齢化のためである。若者も運転中、事故や違反を起こすとパニックになる。正常高齢者でもパニックで周辺症状が出現し、一時的に認知機能が悪化することがある▼しかし、車なしに生活できない高齢者から車を取り上げるとフレイルに陥る。70歳以上はシルバーマークが努力義務とされ、周囲は高齢ドライバーに負担をかけない運転をすることが義務付けられている。高齢運転者を問題視する報道姿勢ではシルバーマーク装着車への影響はどうなるだろうか? マスコミは冷静で客観的な報道を心掛け、対策となる事例の報道や提案をしてもらいたい▼本来自分の足で歩いて生活できる社会であることが、健康長寿社会である。少なくとも公共交通手段が充実した社会であってほしい。(恭仁)

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