財務省は10月の財政制度等審議会・財政制度分科会で2020~30年すぎに全国の医師需給は均衡し、その後医師の過剰が見込まれると推計した。その上で、医師配置などに関する規制も含めた実効的な偏在是正策を実施できるよう国、都道府県の権限を強化すべきだと提言した。
この会議に提出された資料「地域医療構想を踏まえた医療従事者の需給のあり方」では、2008年以降、地域における医師不足を背景に医学部定員を増員してきたが、地域における医師不足診療科偏在はなお根強い。医師が不足する地域、診療科における必要な医師数の増加につながるよう特定地域、診療科での診療従事を医療機関管理者の要件とすることや、保険医の配置・定数の設定などの規制も含めた実効的な偏在是正策が講じられるよう国および都道府県の権限を強化すべきだとしている。
表向きは、医師が不足する地域や診療科の医師数増加が目的とあるが、まず医師の動向を把握し、コントロールして医療費抑制のための医師数削減を実行するのが狙いと思われる。
また10月、政府が開いた経済財政諮問会議では、経済財政一体改革の取組状況として、都道府県別1人当たり医療費の地域差について取り上げている。ここでは医療費の地域差の主な要因は入院医療費であり、入院医療費は病床数ひいては医師数と高い相関があると述べられている。
このように、保険医の配置・定数に関する審議が行われ、具体的な政策案が国レベルで次々と出てきている。我々保険医は今後これらの情報を注視し、手遅れにならないように素早い対策を検討していく必要がある。