京都府が地域医療構想の中間案示す 推計は概数にとどめ削減ありきも避ける  PDF

医療介護総合確保推進法(地域における医療および介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律・2014年6月国会成立)に基づき、全都道府県が18年度からの新たな医療計画に盛り込むことを義務づけられた「地域医療構想」。

京都府は11月30日の京都府医療審議会地域医療構想策定部会(第4回)で京都府の地域医療構想の中間案を「京都府地域包括ケア構想」として示し、府としての25年の必要病床数推計や在宅医療の推計結果を示した。府は、12月にも議会報告、その後パブリックコメントを実施する予定で、16年度内の策定を目指す。
11月に入り、丹後・山城南・山城北・南丹・乙訓の各医療圏で地域医療構想調整会議も開催され、府は今回の案について説明。地域医療構想は「病床を減らすものではなく、25年の医療需要の目安となるもの」として、各医療圏における府としての推計値を示した。
二つの特徴がある。
一つは、病床が増える推計としたことである。
府推計は、16年5月1日現在の許可病床数2万9690床に対し、25年の病床数を2万9957床(プラス267床)とした。
国の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の第1次報告(16年6月)は、京都府の25年必要病床数を最大マイナス900床としていたが、その際に現状の病床数を示すデータとして用いられた医療施設調査による13年の一般・療養病床数(3万300床)に比べ、直近の府の許可病床数が少なく、結果的に病床数が増える形になった。したがって、25年の推計病床総数としては、国推計と同じである。
さらに、各医療圏では国推計よりも病床数を低く見積もった地域(京都・乙訓、山城北)もあるが、現状の許可病床数に比べるとすべての医療圏で維持、山城北、山城南では増床としている。
もう一つの特徴は、機能別の推計値を府独自には書き込んでいないことである。ただし、府全体では相当幅をもたせた大まかな値のみを示した。しかも、高度急性期と急性期は提供する医療内容の明確な区分は困難として、区分けしていない。厚労省がこれを認めるかは今後の交渉にかかっているようだ。
国が、地域医療構想による病床機能分化を通じて病床数全体の抑制を図る意図を持っていることは明らかである。これに対し府は、すべての医療圏で病床数削減を避け、トップダウンによる機能分化ではなく、地域の医療関係者の調整に任せる姿勢を示したともいえ、それ自体は評価すべきであろう。
しかし、病床の総数としては、恐らく国の推計方法(レセプトデータを使用)を用いないわけにいかず、府も独自に試算したようだが、真の需要を反映した数値であるかどうか、との懸念は引き続き拭えない。
また、25年の在宅医療の必要量を、現在よりプラス1万8195の3万9979(人/日)と推計しており、本当にそれだけの在宅医療が確保できるのかという課題が、いよいよ現実味を帯びてきた。
協会は今後、各医療圏の調整会議での議論状況も踏まえ、中間案の全体像を詳しく分析した上で、府の構想に対する評価を検討する。その際、必要な視点は、構想が地域の医療課題を解決し得るかどうかであろう。

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