対象者=代議員91人、回答数42(回答率46%)
調査期間=10月17日~10月31日
塩崎厚生労働大臣は「医師の診療科・勤務地の選択の自由を前提」とした従前の医師確保対策を転換し、「医師に対する規制を含めた地域偏在・診療科偏在の是正策」を年内にとりまとめると表明(5月11日)。「骨太方針2016」には、素案で書き込まれた「規制的手法」は成案では「実効性のある」に書き換えられたが、偏在対策の検討が明記された。
これに先立って、「専門医養成の在り方に関する専門委員会」第2回会合(4月27日)で永井良三委員長(自治医科大学学長)が、「専攻医が都会に偏在しないように」「専門医の需要に応じて診療科毎かつ都道府県毎に専攻医の定員を設定する」と医師の定数制を求める私案を提起。厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」では、医師の需給推計から2040年には医師数が過剰になるとして医師数抑制方針を示し、「需要を大きく超えるような診療機能への就業。開設について、一定の制限が必要」などの論点が示されている(4月26日)。
これまでも保険医定数制導入や自由開業制見直しが議論の俎上にあがっては、医療者の抵抗で消えてきた。国民皆保険体制を支える大事な特徴とされるからである。しかし、「新専門医制度」や「地域医療構想」をめぐる議論のなかから、国が「偏在解消」を名目に、いよいよ医師統制を強める方向に本腰を入れるとみられる。この問題に関して意見をきいた。
「一定の強制力」は半数が不要
診療科や地域による医師偏在を解消するため、行政や公的機関が「一定の強制力」を発揮する必要性について、「不要」(21・4%)と「あまり必要でない」(28・6%)で50%。「必要」(4・8%)「ある程度必要」(35・7%)で40・5%となった。(図1)
個別の項目について、規制を強める是非をきいた。
保険医定数制は7割超が不要
保険医定数制の導入については、「不要」(54・8%)「あまり必要でない」(21・4%)が76・2%と、「必要」(2・4%)「ある程度必要」(16・7%)の19・1%を上回った。(図2)
自由開業制見直しも6割が不要
自由開業制の見直し(就業地、診療科、開業の規制)については、「不要」(42・9%)「あまり必要でない」(14・3%)が57・2%と、「必要」(2・4%)「ある程度必要」(35・7%)の38・1%を上回った。(図3)
自由標榜制の制限は7割が必要
自由標榜制の制限については、「必要①(専門医資格の有無とは別の方法で制限すべき)」が45・2%、「必要②(専門医資格の有無と連動)」が26・2%と合わせて71・4%となり、「不要」は21・4%だった(図4)。ちなみに、m3における同質問での開業医の結果は62%が「必要」で、38・7%が「不要」だった。
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「偏在問題」を上記のように医師統制を強める以外の方法で解消するとしたら、どのような「工夫」をすべきかとの意見では、「医局制度に戻す」「統制でなく報酬や補助金で」がそれぞれ複数あった。「患者負担分に影響しない地域加算の導入」「地区医師会で調整する」「テナントビジネス開業を規制すべき(金もうけ主義開業)」「今まで通り自由な形での診療形態の維持が必要」など。
アンケート結果に通底するのは、強制力を伴った規制には抵抗があるものの、偏在問題を何とかしたいという会員の強い志向があらわれているのではないか。