医界寸評  PDF

秋は楽しいことが多い。柿、葡萄、秋刀魚、松茸などがおいしい。夜長に読書もできるし、体育の日に運動もできる。枕草子に、「虫の音など、はた言うべきにあらず(虫の音などに風情があるのは、いうまでもない)」とあるように、一晩中、虫の声をきくのも良い。徒然草に、「野分のあしたこそをかしけれ(嵐の翌日はまことにおもしろい)」とあるように、台風の翌日はさっぱりとしてすがすがしい▼台風の日に、海を見るのも楽しい。できれば人の少ない日本海が良い。まず漁港や岩場に打ち寄せる波を間近で見て、そのあと海から少し離れた丘に上り、そこから沖合を見る。通常では見られない大きなうねりが、次から次へと押し寄せてくる。2〜3カ月前には、ここでみんなが泳いでいたとは思えないような灰色の海が見える▼月を愛でるのも、この季節ならではである。せっかくなら、海へ行こう。満月の夜に、海辺を歩く。街路灯や家の明かりが全く見えないところまで行って、白い砂浜を歩く。明かりは月の光のみ。聞こえるのは鳴き砂のキュッキュという音。みなもには、月明かりの道が見えるかもしれない。暑くもなく、寒くもなく、すべては溶けあって一体になる。これは、Moonlight walk on the beach という最高の贅沢▼リフレッシュしたあとは、より良い医療を目指して頑張ろう。(Clear)

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