府北部から超高齢社会への挑戦(2)
安原 正博(北丹)
近未来の現実
国立社会保障・人口問題研究所によると、2010年に1億2806万人であった日本の総人口は、2014年には1億728万人に減少し、2110年には5000万人を下回ると推計されている。
この推計によると、10年以降、14歳以下の年少人口や15〜64歳までの生産年齢人口は減少し続けるが、65歳以上の老年人口は40年までは増加(第1段階)する。その後、横ばい・微減(第2段階)となり、60年以降は急激に減少(第3段階)するとされる。
京丹後市の場合、10年の総人口は5万9038人であったが、40年には3万8278人に減少すると推定され、すでに40年時点で老年人口減少+生産・年少人口減少の第3段階が進行すると予測される。40年の65歳以上老年人口は1万6671人で高齢化率43・6%に達する。すなわち、約25年後の京丹後市は2人に1人が65歳以上の高齢者で、生産・年少人口の著しい減少の中で高齢者層も減少に転じる超高齢社会を生きなければならない。
このとき、地域経済はどのようにしたら支えられるのだろうか、どのような医療状況になるだろうか、高齢者の生活とケアを支える医療・介護資源、生活基盤のインフラ確保を現時点から設計しなければならない。しかし、人口減少が直ちに負の経済成長を意味するわけではない。京丹後市における超高齢社会では地域住民の要望が地域特性を生かした新たなイノベーション(例えば、コンパクトな生活空間の再編成、日本海—内陸の歴史観光の産業化、医療・介護・福祉産業による生産年齢層の流入、農業・林業・漁業の共同運営、再生可能エネルギー生産、京都工芸繊維大学と京都府立医科大学連携による研究拠点設置など)を生むような指導理念が求められる。
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長々と愚見を述べました。2015年3月で院長職を離れ、職場では「もの忘れ」外来で診療しながら、自らの「もの忘れ」を自覚しています。 敬具
筆者プロフィール
1970年、鹿児島大学医学部卒業後、同大学第三内科(神経内科学)入局。東京都老人研究所(75年〜92年)、ウィーン大学神経研究所を経て、京都府立医科大学医学教授(98年〜08年)、08年4月〜15年3月まで京丹後市立弥栄病院院長、京都府立医科大学名誉教授、京丹後市立弥栄病院名誉院長。