「保険で良い医療」の実現をめざし 医師と提供体制で活発な議論
爽やかな秋晴れとなった10月9・10日、第31回保団連医療研究フォーラムを京都が主務地となって国立京都国際会館で開催。フォーラムのテーマは、「『保険で良い医療』を実現する医療実践について考える—『開業医医療』の復権をめざして」。650人が参加し活発な意見交換が行われた。京都開催は24年ぶり。
提供体制でシンポ
1日目に「どうなる?日本の医療の姿—これからの医療提供体制、新専門医制度がつくる医師制度」と題したシンポジウムを開催。司会・コーディネーターに近藤克則氏(千葉大学教授)、パネリストには三浦清春氏(保団連政策担当副会長)、草場鉄周氏(日本プライマリ・ケア連合学会副理事長、専門医制度推進委員会委員長)、羽鳥裕氏(日本医師会常任理事、社会保障審議会医療部会「専門医養成の在り方に関する専門委員会」委員、日本専門医機構理事)、伯野春彦氏(厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長、在宅医療推進室長併任)の4氏を迎え議論した。
分科会で139演題
2日目午前は、12分科会とポスターセッションに分かれ、参加者から演題発表が行われた。今回の試みとして、分科会を疾患・病態別テーマで分け、従来は別分科会だった在宅医療や医科歯科連携も包括して演題を振り分けた。また、各分科会討論の時間を設け、午後に開催のティーチ・インにて各座長から内容を報告。各分科会の優秀演題を座長が選出し『月刊保団連』で発表内容を掲載することとした。参加者からは大変好評で、医科の医師からは日常知る機会のない歯科の実情などについても聞くことができ、有意義だったとの意見が挙がっている。
全体討論とアピール
午後からは、研究フォーラム全体のまとめで、ティーチ・インを開催。京都協会の吉中丈志理事の進行のもと、保団連の住江憲勇会長が「日本の医師・保険医の運動の歴史と課題」と題して、宇佐美宏歯科代表が「歯科の保険医運動=保険で良い歯科医療運動」と題して、基調講演を行った。
会場からは、前日のシンポジウムでの報告、同日午前に開催された分科会での討論も踏まえ、「医師になったばかりのころと、ある程度経験を重ねたときとでは、おのずと見えてくるものも考え方も違ってくるだろう。経験を重ねた中で総合診療専門医をめざせる道も確保すべきだ」「現場の医療を考えたとき、フレキシブルな対応も必要だということを我々現場の医師が言っていかなければならない」「どんなに専門的な分野で専門的技術を身につけても、やはり総合的な見方は不可欠だ。総合診療専門医を資格として他の科と同じレベルで考えるのは妥当でない」「開業医が研修を受けられる時間的保障をするような方向が妥当なのではないか」などの意見が出された。
議論を受けて住江氏は、若手医師の「研修の保障」「経済保障」「身分保障」が、今なお改善されていない。研修の充実によって地域偏在解消も可能性が出てくるのではないかと指摘。宇佐美氏は「保険医であり続けられるのか」という点で、歯科保険医はまさにそうした状況に置かれ、運動を続けてきた。今こそ医科・歯科一体で、保険で良い医療を求める運動を進めていきたいと締めくくった。
最後に、京都協会の垣田さち子理事長が「第31回保団連医療研究フォーラム・京都アピール—「開業医医療」の復権を求めて—」を読み上げ、満場一致の拍手で採択された。
なお、今回の医療研フォーラムを通じて明らかになった今後の課題などを語り合う座談会を企画している。特集として本紙にて掲載予定。