保団連 18年度改定が大きな節目 病院・有床診セミナーで警鐘  PDF

 保団連は9月17、18の両日、「病院・有床診療所セミナー」を東京で開催した。本セミナーの開催は今年で34回目。71人の病院・有床診療所関係者らが参加した。
 まず保団連病院・有床診対策部長の安藤元博氏が「病院・有床診療所をめぐる情勢と保団連の取り組み」について基調報告。安藤氏は16年度の入院料に係る診療報酬の特徴的な改定の内容を解説。続く18年度改定は、診療報酬と介護報酬の同時改定であるとともに、第7次医療計画・第7期介護保険事業計画・第3期医療費適正化計画がスタートする時期と重なり、今後の医療・介護施策の極めて大きな節目となり、医療・介護総合確保推進法の一層の具現化が図られると警鐘を鳴らした。
 次に日本医師会常任理事の石川広己氏が「医療情報電子化の将来展望と課題」と題して講演。医療機関の役割分担、在宅医療を含む医療・介護連携を推進し、医師不足・医師の偏在・診療科の偏在等を解決するには医療情報連携が最も有効であると考え、医療連携のIT化は必要とした。しかし、医療の現場で個人番号カードを登場させるような仕組みを作ってはいけないと主張し阻止したことを報告。医療等分野専用の番号(医療等ID)が必要であり、その先行実施として登場させたのが「医師資格証」と説明した。セキュリティを担保した上で、電子処方箋、電子紹介状、被保険者資格確認等、機微な情報を共有する医療等分野専用のクローズドネットワークの構想を紹介した。
 18日午前は、日本医療法人協会事故調運用ガイドライン作成委員会副委員長の坂根みち子氏が「医療事故調査制度開始から1年—管理者受難の時代へ—」と題して講演。6月に改正された医療事故調査制度のポイントを、管理者が死亡事例を全例把握すること、支援団体等連絡協議会の設置、遺族からの相談に医療安全支援センターを紹介し、病院管理者に連絡する—の三つと解説。本制度において構築すべき院内体制は様々ある中で、特に過重労働対策が重要とした。管理者は、報告対象かどうかの仕分け作業が必要であり、かつ現場の改善をも求められている。現場を改善することが患者のためにつながる—と解説した。
 午後の病院分科会では、熊本県保険医協会常任理事の本庄弘次氏が「熊本地震の現状と課題—今までの備えでできたこととできなかったことを振り返る」と題して、有床診療所分科会では、長崎県医師会常任理事の長谷川宏氏が「有床診療所の将来展望」と題してそれぞれ報告。長谷川氏は、有床診療所とその病床は年々減っているが、地域包括ケアシステムの中心を担うことが期待されていると説明。外来医療と入院医療を、そして医療と介護をシームレスに提供できるのが有床診療所である。地域のニーズに応えていくために、基準病床数が過剰の地域であっても、必要性が認められれば、特例により病床設置ができるようにする。地域医療構想の中で、自院の立ち位置を明確にし、機能をさらに「見える化」する。ショートステイとしての利用、介護や住まいをセットにした新たな施設体系を検討する。ICTを含む施設・設備の整備による連携強化と発信力の強化を行っていく—必要があると訴えた。

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