ペンネームの意味をよく尋かれる。姓がウ(卯)、名がケイ(蛙)のつもりである。アルファベットは連合王国ならぬUKでは芸がなく、「宇治のカエル大界を知らず」の字義で謙虚に命名したが、その後、「蛙」の音読みにケイはなくアと判り要改名とも考えた。遂には原稿のネタ切れに困ったなら、執筆担当等を降番して後輩に道を譲れるよう、最後の話題にしようと残しておいた▼今上天皇も、象徴天皇の務めや神事など果たすべき責任の重さから、明文規定にない次世代への生前継承の円滑な実施を望まれる。歴史上にある上皇・法皇としての事後はあり得まいが、国民統合の象徴としていただく国も国民も時の流れに導かれゆく、できればより長く続く平和維持へのよりよい方策を真剣に考え続けねばなるまい▼宇治の名は、「内なる地」に由来するとある。かつてこの地に忠実なる白ウサギありて、当地を統べる予定の皇子は莵道稚郎子命(うぢのわきいらつこのみこと)をふり返り見返りしつつ、進むべきその道筋を指し示し、今も目にして耳にする地名の「莵道(卯路:ウヂ)」の野辺へと導いたとの伝説が残る▼さて今、この町の片隅で、もはや蛙のようには跳ねずとも、発光毒素のおかげで蛙に食われぬ蛍の如く、しばらくひっそり輝き続け舞いさわいでいたいものである。(卯蛙改め卯蛍)
MENU