休暇はハワイと決めていたのですが、フランスの田舎道をレンタカーで走る旅に誘われて以来、すっかりそれにはまってしまいました。
ミシュランの分厚い地図とにらめっこ、運転は友人まかせ、美しい村々を訪れ、近くのオーベルジュに泊まり、ワインやフランス料理を堪能します。おしゃれなフランスを満喫できる、私にとっては何事にも代えがたい喜びでした。
しかしある時から、友人が行けなくなり、さあ大変、私は運転免許を持っていません。嫌がる家内を説得し、初めて家内の運転でボルドーからバスク地方へ出かけました。散々道に迷ってたどりついたオーベルジュ「オスタぺ」で、たまたま出会った日本人のマドモアゼルからガーミンというナビがあることを教えられました。
そして翌年、力強い味方を手に、意気揚々とコートダジュールへ出かけました。初夏の南仏は、日が長く、明るいうちに最初のオーベルジュに到着できるはずでした。手続きを済ませたレンタカーは、シトロエンのピカソ。ところが、ガーミンをつなぐシガーソケットがありません。車にナビはついていましたが、フランス語しかしゃべりません。やっとの交渉で代えてくれた車は、プジョーのハッチバック。早速、シガーソケットにつないだのですが、現在地が京都市上京区のまま、一向に作動する気配がありません。辺りはだんだん暗くなり、不安で一杯になりましたが、仕方ありません。気持ちを落ち着けて、とりあえずオーベルジュへ延着の電話をしました。そして、万一に備えて持ってきたミシュランの地図を、スーツケースの底から取り出し、とうとう日が落ちて真っ暗になってしまった中を出発しました。高速を通り、ヘッドライトに照らされたオーベルジュの名前を見つけた時は、本当に力が抜けました。
翌朝には、ぐっすり眠ったガーミンは機嫌を直して作動してくれましたが、これ以来、必ず到着した空港近くに一泊するようにしています。
船旅と違って自力移動、何が起こるかわからない緊張感あふれる冒険の旅です。フランスの田舎の人の暖かい心に触れることも、あっと驚く絶景に出会うこともしばしばあり、この旅はやめられそうにありません。今は、グーグルマップのナビ機能も活用できます。先生方、こんな旅はいかがですか?
一息ついたところで運転手と