2016高齢者大学 ④ 皮膚疾患など解説  PDF

2016京都高齢者大学健康講座第4講は、皮膚疾患をテーマに山田一雄理事が担当した。
皮膚疾患では古来あった純然たる日本語病名が失われてしまっている。そのために、医療従事者と患者さんとの理解にずれが生じてしまっていると指摘。
皮膚疾患を指す古い言葉として、「ほろせ」「ほっぱん」「くさ」などがあったが、西洋医学の導入で病名がドイツ語やラテン語由来の日本語訳に置き換えられてしまった。医療従事者の正確な意思伝達の方法としてはよいが、庶民が使っていた病名が失われてしまった。患者さんが医師に自分の症状を訴えてもらうときは、昔の呼び名で言ってもらう方が伝わりやすいと解説した。ちなみに「ほろせ・ほっぱん」は蕁麻疹、「くさ」は湿疹のこと。
例えば、皮膚科を受診される患者さんは「発疹が出ました」と言われる方が少なくない。しかし、実は「発疹」とは「皮膚に症状として現れる肉眼的変化」を示すだけの言葉で、つまり「何かができたぞ」という以上のことは、表していない。一方、「湿疹」は皮膚にブツブツが生じる、痒さを伴うもののことを指す。また、何でも蕁麻疹という人もいるが、蕁麻疹は湿疹ではない。患者さんは、もちろんこうした専門用語を知らないので、時々話が混乱してしまう。こうしたすれ違いは医療過誤にもつながりかねないので、医師としても注意が必要だとした。続いて、子どもの皮膚疾患についていくつかの症状を紹介。皮膚の異常はしばしば外見を損ねるので気になり、知識がないと恐れたりもする。自然に消失するもの、実害のないものも多いので、知っておくことは本人・家族の安心にもつながると語った。
質問では、アトピーと喘息の関係は? 子どもがスキンケアといってベタベタ何か塗っているが大丈夫か? など、皮膚にまつわる質問が寄せられた。
次回は、9月1日(木)「普段よくみられる耳鼻科の病気について」で、講師は鈴木由一副理事長。中途入学や単月(1回1000円)での参加も可能なので、患者さんにぜひお勧めいただきたい。問合せは、協会事務局まで。

講師の山田理事

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