主張/消費税損税解消にむけ医療界の要求一致を
2017年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げが19年10月に延期になった。当協会では現在の景気状況での消費税率引き上げには反対してきたが、それが実現したことになる。ただし、予定されていた税収が減少するのは間違いないため、2年後に予定されている、診療報酬・介護報酬の同時改定への影響が懸念される。これを機会に消費税に頼りすぎない財源も考えていただきたいものである。
国家財政の問題はここまでにして、医療機関の消費税負担問題について述べたい。「損税」という言葉で表現してきたが、損税を正確に算出するのは困難である。社会保険診療は非課税とされており、仕入れ等で支払った消費税は「課税」されていないため、仕入れ税額控除は不可能で、医療機関の負担になってしまう。この消費税負担のことを「控除対象外消費税額」と呼ぶ。
控除対象外消費税は診療報酬に上乗せされているとされてきたが、技術料に上乗せされた部分は今やはっきりせず、現状ではほぼ失われているとの主張もある。しかし、薬価については明らかに消費税分は上乗せされているため、医療機関の負担している消費税(控除対象外消費税)はすべて損税である、という主張は当たらないと考える。
しかし、損税が存在するのは明らかで、無床診療所で年間100万円程度、病院では億単位の損税があるとの試算もある。また、現状では患者負担にも消費税分が含まれることになり、真の意味での非課税にはなっていないとも考えられる。協会は損税問題解消のため、以前よりゼロ税率を主張してきた。ゼロ税率「課税」すれば、仕入れ税額控除が可能になり、損税は解消する。
ここでは詳述できないが、事業税非課税、4段階税制等への影響が懸念されるなど様々な問題もある。
日本医師会医業税制検討委員会がとりまとめた「診療報酬に仕入税額相当額として上乗せしている2・89%相当額を上回る仕入消費税額を負担している場合には、その超過額の税額控除あるいは還付を認める」という方法も検討する価値あると思う。消費税率10%に向けて時間は少ない。医療界が一致しなければ要求も通らない。会員のご意見も頂戴したい。