医師の診る風景 北丹より(1)  PDF

医師の診る風景 北丹より(1)

齊藤 治人(北丹)

「海の京都」は高齢化先進地域

 北丹医師会は京都府の最北部に位置する京丹後市の医師会です。市は平成の大合併で12年前に誕生しました。広さは500です。

 私の住む久美浜町から京都市内までは約150kmあります。昨年7月に京都縦貫道が全線開通しましたが、車で3時間前後かかります。電車も乗り継ぎが悪く同じくらいかかります。

 現在、京都府北部は「海の京都」天地山海にいきづく和の源流として売出し中です。また、京丹後市の東端から鳥取の西端まで、東西約120kmの山陰海岸ジオパークは、2010〜14年、14〜18年に世界ジオパークに認定されています。

 京丹後市は、故木村次郎右衛門氏(享年116)に代表される100歳以上の高齢者(百寿者)が多いことから、長寿の要因を探るプロジェクトが進行中です。

 京丹後市の合併当時の人口は、6万5822人で、65歳以上の高齢化率は26・4%でした。2016年4月末現在、人口は5万7198人、高齢化率は34・3%です。ここ12年で人口は8624人減り、高齢化率は約8%も上昇しました。人口減少と、少子高齢化はますます加速しており、全国の10〜20年先をゆく高齢化先進地域などと言われています。

 医療機関に目を向けると、市には四つの病院(うち、市立病院が二つ)と、1週間に5日以上外来がある診療所は16あります。そのうち、開業医は11医院です。昨年までは10医院で1ケタが迫って来ていましたが、今年4月に久々に開業され11医院になりました。とはいえ、絶滅の危機を脱したわけではありません。私が開業した1988年の開業医院数は19でしたから、ぎりぎりのところで踏みとどまっています。

 医師会活動はほとんどの開業医が役員ですが、勤務医の先生方にも多く参加してもらっています。しかも誰もが複数の役を掛け持ち、マンパワーも限界です。

 一度役を引き受けると次に譲る人がないため、休業するまで(稀に休業されても)降りられません。

 他にも、介護認定審査会、学校医等も助けてもらっています。

 3人に1人以上が高齢者という京丹後市では認知症、看取り等といった問題は避けては通れません。今まさに直面しています。夜間の往診もしますが、開業医の居ない町もあり、在宅看取りを希望されても難しいところがあります。これらの事情から今後ますます病院および多職種との連携が必要になってくると思われます。

 次回からは、丹後6町の医療について報告いたします。

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