税理士との懇談会で報告  PDF

税理士との懇談会で報告

労使とも雇用での意識高まる傾向に

 協会は、4月19日に協会事業に協力いただいている5人の税理士と懇談し、(1)2015年分確定申告の状況(2)15年度税務調査の動向(3)最近の雇用問題にかかるトラブル事例—を中心に意見交換した。また、協会の共済制度への理解および会員からの相談時における態勢や各種講習会、セミナー等事業について一層の協力をお願いした。

優遇税制の上手な活用を

 懇談会では、税理士より特徴的な点が以下の通り報告された。

 15年分確定申告の状況では、2014年の消費税率引き上げ前の駆け込み投資の影響か、全体的に15年は医療機器等の購入が少ない年であった。措置法26条では、保険診療収入は5000万円以下だが、総収入金額が7000万円を上回るなど、小児科等で適用できないケースがあった。一方で、院外処方への移行により保険診療収入が5000万円以下となり適用となったケースもあった。インフルエンザワクチンの値上げにより、接種控えによる減収が危惧されたが、流行が事前にマスコミで騒がれたためか現場での混乱はなく、相対的には自由診療収入の減収傾向は見られなかった。また、内科系については12月にインフルエンザが流行しなかったので、事前の損益や税額予測を下回るケースが多かった。さらに、今年度の確定申告より提出が義務付けられた「財産債務調書」(総所得金額および山林所得金額の合計額が2000万円を超え、かつ3億円以上の財産等を有する方対象)については、税務署の対応もまだ不明瞭で、積極的な提出者はなかった。

税務調査は減少傾向

 国税通則法改正後より調査件数は減少しているが、個人開業医においては交際費(飲食・ゴルフ)、贈答等の内容やその相手先、消耗品や福利厚生費への家事費混入等が調査対象となった。法人では、講演料の処理や地主への支払調書提出の指摘など。調査の事前通知に関しては、1カ月前に電話ではあるが11項目が丁寧に通知され、税務署側も神経質な対応となってきている。「調査の終了の際の手続に関する同意書」の提出については、手続き規定で定められてはいるが、税務署側もまだ統一した対応にはなっていないようだ。

雇用トラブル時は相談室等の活用を

 さらに、従来の法違反となるような一方的な解雇等は、雇用側の問題認識の高まりもあり減少している。しかし、雇用側が正当だと思う処分を下した結果について、従業員自身が非常に知識を得て、減給処分の取り消しや差額支給、解雇予告手当や慰謝料等を請求してくることが多くなり、社労士を付けないと対応が難しいケースが増えている。求人難で、募集広告経費が増大する傾向もみられる。103万円、130万円の壁についても多くの医院が頭を悩ませ、配偶者が公務員等の場合は年額でなく月額で制限がある場合もあり、採用時に確認しておく必要がある。健康志向もあってか、スタッフの自転車の通勤労災が増えているが、無保険状態のケースが多く注意が必要だとした。

 なお、協会では社会保険労務士との無料相談や「雇用管理講習会」を開催するとともに、『医院経営と雇用管理』(保団連発行)を1冊無料で会員各位にお届けしている(次回改訂版は16年12月発行予定)。大いにご活用いただきたい。

ページの先頭へ