東山医師会と懇談会
2月25日 東山医師会事務所
医療費抑制しか念頭にない政策に対案を
協会は2月25日、東山医師会との懇談会を開催。地区から4人、協会から6人が出席した。
懇談は東山医師会の岩崎淳副会長の司会で開会。冒頭、同会の中村良雄会長は、今次の診療報酬の改定率や介護保険の現状に関して報告するとともに、「安心で良質な医療が受けられるように、地域医療を守っていく努力をしていかなければならない。本日論議した意見を地区に反映していきたいと思っているので、頼りになる協会として色々とご指導願いたい」とあいさつした。続いて、垣田理事長よりあいさつし、協会から情報提供を行った後、地区から出された新専門医制度および医療事故調査制度に関するテーマを中心に意見交換を行った。
新専門医制度について地区より、「厚労省の医療制度改革は、医療費抑制が本音で、その一環で新専門医制度もあると思う。彼らはまともな専門医をつくることに主眼はなく、医療費削減しか考えていない。医療費がこのままでいくと破綻するのは分かっており、医療費を減らす何らかの方法を考えなければならない。反対するだけでなく、協会としても対案や大きなビジョンがあれば良いのではないか」との意見が出された。これに対し協会は、「今年10月に保団連の医療研究フォーラムを京都で開催することになり、“開業医の復権”をテーマに取り上げている。開業医の地域に密着した診療や、国民皆保険制度、出来高払い制度の良さを再認識しないと、19の基本領域の専門医を作ったところで、お金がかかるばかりだ。日本の医療の良さは、日本の開業医の良さが原点であることを忘れかけていると思う。それをどのように国民に訴えるかが難しい」と述べ、フォーラムへの協力を呼びかけた。
次に、医療事故調査制度について地区より、「WHOに準拠する制度としないのであれば、再発防止のために良くするのではなくて、罰するために利用しているだけである。かえって状態が悪くなっているのではないか」との意見が出された。協会からは、「医療事故調は、医療の安全を確保するために医療事故の再発防止を全面的に掲げ、紛争を処理しようとは思っていない。医療従事者の個人責任が追及されることになるなら報告は上がってこないだろう。当事者を守ろうとするものにはなっていない」と問題点を指摘した。また、医療事故調査制度の支援団体は、全国組織でないと認めないということで、次の募集時には保団連として手を上げる方向で調整していることも報告した。
その他、地区からは、マイナンバー制度が国民の知らない間に決定されたプロセスを疑問視する意見や、国が制度を変更すると市民への周知が不十分なために、医療機関の窓口で説明に時間を取られることになるので改善を求めたいと、医療現場ならではの意見も出された。