2016診療報酬改定こうみる(2) 入院
副理事長 渡邉賢治
医療結果で格差生み出す新アウトカム評価に危機感
今回の改定では、入院の再編と機能分化を目指し、特に急性期病床の削減を推し進めようとする内容である。7対1病床の削減のため、「重症度、医療・看護必要度」に新設の「C項目」を追加した上で、基準を満たす患者割合を15%から25%に引き上げた。在宅復帰率も計算対象に含まれる退院先に在宅復帰機能強化加算の届出をした有床診療所を追加したが、その割合を75%から80%に引き上げた。
この結果、7対1を算定する中小病院ではその維持が難しくなる可能性が高い。また、7対1と10対1を病棟群単位で届出ができるようになったが、これも10対1への移行を目的とした経過措置の意味合いが強い。退院を促進し、在宅への流れを進めるために、「退院支援加算1、3」「地域連携診療計画加算」「退院訪問指導料」に高い点数がつけられた。
地域包括ケア病棟では点数は据え置かれたが、手術料が出来高で算定できるようになった。
回復期リハ病棟には新しいアウトカム評価が設けられた。このことは医療の結果に点数として格差をつけることになり、大きな問題を含むと考える。このアウトカム評価が広がる可能性もあり、注視が必要である。
療養病棟では、「療養病棟入院基本料2」にも医療の必要度が高い医療区分2、3の患者割合が50%以上であることが要件となった。「療養病棟入院基本料2」算定病床は2017年度末に廃止する方針であり、医療必要度が低い患者の受け皿がないままに進められると、これら患者が在宅へと投げ出されることになる。受け皿が整備されていない以上、療養病床の存続は必要と考える。
有床診療所では「在宅復帰機能強化加算」が新設され、7対1病床や地域包括ケア病棟等から退院患者を受け入れた場合、病院側は在宅復帰率にカウントでき、有床診療所は病院からの患者受け入れとしての役割を担うことになる。しかし、まだまだ有床診療所の評価は低く、入院基本料の底上げなど改善を求めていきたい。