国保への国庫負担減額「見直すべき」
厚労省の子ども医療検討会が報告書
厚労省の「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大教授)が3月22日、議論の取りまとめを行い、子どもの医療費を助成している地方自治体に、国が国民健康保険の国庫負担を減額する措置について、見直すよう求める報告書を了承した。
国保の減額措置は、自治体独自の制度による波及増分は公平の観点から当該自治体が負担すべきとの考え方に基づくものとされる。地方自治体からはこのようなペナルティの廃止を求める声が強く、報告書には「早急に見直すべきとの意見が大勢を占めた」と明記された。
その検討にあたっては、△医療費無償化による受診拡大等が医療保険制度全体の規律や医療提供体制に与える影響△負担能力に応じた負担とする視点や過度な給付拡大競争の抑制△小児科のかかりつけ医の普及、保護者等への啓発普及、他の子育て支援策の 充実など併せて取り組むべき事項△必要となる公費財源や財源の有効活用など財政再建計画との整合性等の観点を踏まえつつ、行うべきとされた。
なお、減額調整の廃止による国費の増加については、未就学児で79・2億円、小学生までだとさらに35・7億円が必要とされる。このため、具体的な見直し案は、5月に策定する「1億総活躍プラン」に方向性を盛り込み、今夏の来年度予算概算要求に向けて政府内で検討される。
報告書は小児医療の提供体制についても、△小児医療へのアクセスに留意しつつ、特に高度先進医療を含めて更なる集約化を推進△地域包括ケアシステムのコンセプトを子どもの医療にも広げ、中核医療機関と地域の小児科のかかりつけ医等の連携をはじめ、医療・福祉・保健・教育等の多職種が連携しチームで対応△医療的ケアが必要な子どもを地域で支援する体制を構築△妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センター(日本版ネウボラ)の整備—を提言している。