経済的理由での治療中断3割 協会会員調査で判明
協会が会員医療機関に実施した調査で、「患者の経済的理由によると思われる治療中断」の経験があるとした医師が3割にのぼることがわかった。
調査は全国保険医団体連合会の全国調査の一環として、府内で昨年12月2日から2週間で実施。FAXで1770医療機関に送付し、286医療機関から回答を得た(回収率16%)。
結果では、この半年間に「経済的理由によると思われる治療中断があった」が30%、「医療費負担を理由に検査や治療、投薬を断られた」ことがあるは45%にのぼっている。
治療中断事例の病名は多い順に、糖尿病、高血圧症、脂質異常症など生活習慣病があげられているが、中には悪性腫瘍など生命にかかわるものも含まれている。断られた検査や治療では、血液検査やレントゲンなどが多くあげられた。
「薬が切れているはずなのに受診に来ない(185)」「受診回数を減らしてほしい(168)」「ジェネリック希望など薬代負担を減らしてほしい(159)」などと言われる例が目立っているが、「専門機関の紹介や入院をすすめたが拒否された(46)」「症状の重い初診患者が増えた(26)」という例も少なからずみられる。
また、47%が「この半年間に患者一部負担の未収金があった」と答えている。
さらに、今検討されている75歳以上の患者窓口負担の2割への引き上げについては、75%が「受診抑制につながる」と懸念している。
政府は「社会保障費の充実・安定化」を名目に消費税率を引き上げたが、この4月からは紹介状なし大病院受診の定額負担導入や入院時の食事負担引き上げが実施される。さらに、上記のような後期高齢者の窓口負担2倍化の他、70歳以上の患者負担上限額引き上げ、かかりつけ医以外を受診するたびの定額負担導入や入院時の居住費徴収など負担増メニューを掲げている。これ以上の負担増は、患者の受診に厳しい抑制をかける懸念がある。協会はこれをストップするための患者署名に取り組んでいく。