医界寸評
全国世論調査から地域スーパーの顧客相手まで、世の中アンケートの洪水である。突然舞い込むダイレクトメールでの医療アンケートに不快な思いを抱かれたご同輩も少なくないのでは▼当協会においても各種アンケートを実施している。送る側と受ける側、立場が変わると対する心情も異なってしまうのが人の性であろうか。それ故、実施する側となった場合、内容について侃々諤々の議論、試行錯誤が繰り返される▼今秋の保団連医療研フォーラムに向けての全国アンケートでは、すでに第10案が提示、検討中だ。回収率を上げるためには、誰もが気軽に答えられる簡潔なものが望ましいが、内容が乏しく、実態を反映しないようでは本末転倒となる。難しい▼先日記入した在宅医療に関するアンケート。往診、看取りの数を問われたが、特養等の配置医師としてのものは除くとあった。当地では地域崩壊が進み、人材不足で在宅介護サービスも危機状態。都市部に比して入りやすい施設指向は高まりの一途。実績型在宅療養支援診療所である当院の、要件を満たす看取りの比率は、自宅1人対特養11人である。当然のこととして特養への「緊急の往診」も多くを数える。これらは集計の対象とならず、個々の実情を反映した結果は得られない。多様な立場への配慮が求められよう。(呑鉄童)