第190回定時代議員会開く  PDF

第190回定時代議員会開く

 医師と患者の信頼関係崩す管理・統制は許さない!

  京都府保険医協会は1月28日、第190回定時代議員会を開き、2015年度上半期活動報告および下半期重点方針、決議案を採択した。代議員57人、理事者18人の出席で、茨木副議長が進行した。

 上半期重点活動を総括

 鈴木由一副理事長から15年度上半期の活動を総括。政府は骨太方針を閣議決定し、経済成長重視の姿勢を示していることを報告。社会保障費の伸びを3年間で1・5兆円程度に抑制することを目標に、「受診時定額負担」など新たな「受診抑制策」が検討されている。

 そのような中、協会は各党の府議団と懇談を進め、新専門医制度や地域包括ケアなどで意見交換を行った。また、京都市のリハビリテーションセンター附属病院廃止を巡る問題へも対応。その他、TPP(環太平洋連携協定)の問題、原発問題についても、共同している団体と講演会の開催や抗議声明の発出などの取り組みを進めたことを報告した。また、昨夏は安全保障法制阻止に向け平和問題への取り組みを強化。人々の健康や命を守る医師の立場から軍事大国化の流れに反対し、医師・医学者アピール賛同やポスター運動に取り組んだことなどを報告した。さらに、16年10月に開催する全国保険医団体連合会の第31回医療研究フォーラムに向けて、「新専門医制度」の全体像とその問題の本質を捉えるための連続企画「開業医フォーラム」を開催していることを紹介した。

 診療報酬改善対策では、「退院後1カ月以内の患者に対する特定疾患療養管理料の算定制限廃止等を求める要請書」「16年度診療報酬改定に関する要請署名」など、多くの要請署名や要望を提出。診療報酬の不合理改善を求めたことを報告した。審査・指導対策では、近畿厚生局と懇談。近畿厚生局管内の各協会がとりまとめた「個別指導および監査の改善を求める決議」をもとに、「弁護士の帯同および録音」など12項目の改善を求めたことを報告した。

 その他、「医療へのゼロ税率の適用」「消費税増税中止を求める会員署名」に取り組んだことや、『医療安全対策の心得』第5版の発行、文化ハイキングなどの文化活動を報告した。

 

誰もが社会保障で生きられる国に

 

 続いて、渡邉副理事長が情勢を報告。2016年度診療報酬改定は本体はプラス0・49%、外枠とされた「制度改革項目」を含めて、実質はネットでマイナス1・43%となったことを報告。総体としての引き下げの問題はありつつも本体改定率がプラスとなったことは、この間、我々が厚労省交渉などの取組みを重ねてきた成果と述べた。

 一方で、医療提供体制改革および医療保険制度改革は着々と進められている。これら改革の行く末は、形だけの皆保険制度を残すものであり、国のなすべき医療保障責務を放棄するものだと強調。こうした国が思い描く医療提供体制を支えるために、「新専門医制度」が利用されようとしていることに警鐘を鳴らした。

 そして、今こそ我々は国民皆保険制度を支え地域医療を担っている「開業医医療」の正当な評価を求める必要があるとし、誰もが公的な医療・社会保障で生きられる国を目指す運動に立ち上がるときだと述べた。

 

協会の重点活動方針を確認

 

 情勢報告を受けて、垣田理事長が下半期活動方針を提案。2016年診療報酬改定対応として、▽医療の質を下げることに直結する、診療報酬の総枠削減に断固反対▽4月の診療報酬改定にあたっての迅速な情報収集と広報、運用の対応など日常診療支援▽新点数の影響を分析し会員の意見を集約した上での関係機関との折衝 を重点課題とした。また、医療提供体制改革への対応として、広く府民の視点から、京都の医療提供体制をどう構築していくか議論が必要とし、実効性のある「地域医療構想」のため、会員意見を集約し現場の医療提供を担う開業医の立場からの率直な意見表明を行うとした。

 医師養成のあり方を大きく変える「新専門医制度」については、日本の医療を支えてきたこれまでの開業医制度が問われている課題と認識し、何が問題とされ、どういった解決の方向性が目指されているのか。新制度実施でどういった変化が起こるのかなど、問題点を整理し議論した上で、提言をまとめていきたいとした。

 なお、16年10月に京都で開催される保団連主催の医療研究フォーラム(関連5面)においても、この問題をメインテーマとし、全国の保団連会員に議論の輪を広げたいとした。最後に、礒部理事が決議案(2面全文掲載)を読み上げ、提案。すべて賛成多数で採択された。

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