真実を求めて—731部隊の実像に迫る研究の集積を論文集に

『NO MORE731 日本軍細菌戦部隊 医学者・医師たちの良心をかけた究明』
15年戦争と日本の医学医療研究会編（文理閣）
定価3600円＋税

　「15年戦争と日本の医学医療研究会」（事務局長・西山勝夫氏）が、戦後70年という節目になる15年11月に、『ＮＯ　ＭＯＲＥ　731日本軍細菌戦部隊　医学者・医師たちの良心をかけた究明』を出版した。

　同研究会は、15年戦争と日本の医学・医療、特に旧日本軍731部隊を中心に史実・証言の収集調査とその研究を目的としている。今回まとめた書籍は、同研究会を創立した2000年以降、会誌に発表した論文を編集したものとなる。

　編集責任者でもある西山氏は、巨大な戦争犯罪を隠ぺいしようとする闇に対し、今後とも微力ながら良心の灯を掲げて調査・研究に挑み、努力を続けていきたい。本書が日本の医学者・医師・医療従事者、医学界・医療界による戦争加担・戦争医学犯罪を二度と繰り返させないための一助となれば、と綴っている。

　また、2015年に開催した「歴史を踏まえた日本の医の倫理の課題」では、同実行委員会の副代表を務め、この問題の検証の重要性を訴えた。

　731部隊の実像に迫る研究論文はもとより、731部隊の元少年兵である篠塚良雄氏の手記や、部隊旧址調査報告、細菌戦被害の聞き取り調査報告など、同書の内容は多岐にわたる。ぜひご一読いただきたい。

　なお、西山氏を中心に5月には「731日本軍最近部隊などの戦争遺跡を巡る旅」が企画されている。広く参加者を募っており、本紙に案内を同封しているので、興味のある方はぜひご参加を。