医界寸評
昔、大学に入った頃だったか、父に「お前はノンポリだな」と言われたことを思い出した。そのときは、優柔不断でポリシーがないことかと思い、そう言うと、父に大笑いされた。そのころは本当にノンポリであった▼現在、私達は政治的な問題が渦巻く中で、日常の生活を送っている。医療の現場もしかりで、医療制度、保険制度そして医師制度など、今、政治に私達は翻弄されている。私達保険医は、こういった社会的、政治的な問題には、保険医運動によってしっかりと向かっていかなければならない。患者の健康や命を守る。そして、私達保険医の権利を守るためには、保険医運動は政治的な課題を避けては通れないのではないだろうか。運動の基本は、日々の診療の中で、不合理な問題などがあった場合に、しっかりと声を上げていくことだろう。それが集まれば大きな力となって、よりよい医療制度、保険制度そして医師制度を作り上げていけるのではないか▼私が幼かったころの父が綴った日記に、次のような文があった。「何が正しい、何が誤りか。それを判断する基準をなにに求めるか。これを正しく身に付けてほしい。正しく生き抜くことの難しさを感じながら、自分自身を鍛え深めていく人間になってほしい。そのことが、身についた学問を生きた学問にすることであるのだから」(治)