中医協が16年度改定の骨子を公表
協会 後発品の強引な使用促進などに反論
厚生労働大臣は1月13日、中医協に16年度診療報酬改定案に関して諮問。中医協は同日「これまでの議論の整理(現時点の骨子)」を公表した(1月25日発行『グリーンペーパーNo.233』に掲載)。これに対して協会は意見をとりまとめ送付した。以下、特徴的な点と協会の意見を述べたい。
全ての保険医に影響があるのは、後発医薬品の使用促進を理由とした処方箋記載方法の変更だ。「一般名処方の場合とそれ以外の場合の評価の差を広げる」「一般名処方加算の算定要件について、後発医薬品の存在する全ての医薬品について一般名処方を行うことに見直す」ことが検討されている。協会は算定要件の厳格化による強引な促進ではなく、一般名処方の剤数の増加に伴う加算点数の段階的引上げなど臨床現場の判断を尊重した形にすべきだと求めた。
また、「処方箋に後発医薬品の銘柄を記載した上で変更不可とする場合には、処方箋に理由を記載する」としている。全ての後発医薬品が現場の医師として臨床的に信用できる品質とは限らないので、記載要領の追加は負担を増すだけだ。
さらに「一定枚数を超えて湿布薬を処方する場合、原則として保険給付外とする」ことが示されている。1回の処方枚数に上限を設けるのは根拠がないため、協会はやめるよう求めた。
在宅自己注射は改善の方向
次に在宅医療だが、在宅時医学総合管理料等について「同一建物居住者の場合」の定義を見直し、同月に同一建物に居住する複数の患者がいるかどうかで判断し、かつその人数で評価を細分化する方法に変更することが検討されている。どこで療養していても、「在宅療養計画の立案」および「総合的な医学管理を行う」という算定要件に差がないため、評価を在医総管に一本化することを求めた。
また、在宅自己注射指導管理料について「現行の注射指導回数に応じた評価の差を縮小する」とされている。協会としては改善方向について評価しているが、そもそも点数に格差をつける医学的根拠がないため、在宅自己注射指導管理料は導入初期加算を除き、前回改定以前の点数に戻すことを求めた。さらに「2以上の医療機関で異なる疾患に対して、同一の患者に対して当該指導管理を行った場合、それぞれの医療機関において当該指導管理料を算定できる」としているが、これは協会がかねてから改善を要求していたことであり、実施を求めた。
「要介護者に対する維持期リハビリの介護保険への移行」、つまり医療保険の維持期リハビリを打ち切る方向が示されている。協会は、多くの患者が介護保険への移行が困難であるとの検証結果が出ているため反対であると意見した。
入院医療については、7対1入院基本料の病床を減らす目的で「重症度、医療・看護必要度」「自宅等退院患者割合」「短期滞在手術等基本料3」の変更が提案されている。協会は、7対1の看護職員配置は現状でも必要な看護を提供するための十分な看護職員配置数とは言いがたい場合も多く、むしろ7対1の看護職員配置を広め、看護を含む十分な入院医療を提供できる体制こそ必要であると改善を求めた。
随時、改定情報を発信
中医協の答申は2月14日前後が予想される。協会では点数改定にあたって『答申特集号』『改定のポイント』『Q&A』『薬価基準』『常用点数表』『診療提要』等の出版や、新点数説明会(上掲)の開催を予定している。また、新点数に関する各科別の新聞連載も企画しているので、協会からの発送物をぜひご覧いただきたい。