主張/医療研フォーラムを「開業医医療」守る運動の起点に  PDF

主張/医療研フォーラムを「開業医医療」守る運動の起点に

 2016年が始まった。15年12月21日には、今次診療報酬改定率について医科がプラス0・56%、歯科がプラス0・61%、調剤プラス0・17%で本体プラスが0・49%、薬価・材料価格がマイナス1・33%、ネットでマイナス0・84%(実は、「外枠」を加えればマイナス1・43%)と決定された。社会保障費抑制の大部分が医療に押しつけられたことや、総体として引き下げという問題はあるものの、本体においてわずかであってもプラスとなったのは、我々の厚生労働省との交渉など、この間取り組んできた運動の成果である。今後も気を緩めることなく、今次改定の問題点も含め、会員各位の声を集約し、診療報酬改善につなげていきたい。

 そしてまた、今年は10月9日から10日にかけて、保団連医療研究フォーラムを京都で開催する予定だ。

 国が目指すこれからの医療制度は、住民と地域の自治体・医療者が、その負担能力の範囲内で医療提供体制を構築し、自己責任において管理運営する医療制度である。

 医療提供体制は、入院医療改革である「川上」と在宅医療・地域包括ケアシステム構築である「川下」の一体的改革が進められている。保険制度は、国保都道府県化を契機に、一気に地域責任で運営する保険制度に向けての構造改革が進んだ。

 国はこの「より効率的な医療制度」の実現に向けて、特に「川下」改革での医療提供者を、これまでの「開業医」から「総合的な診療を行うことができるかかりつけ医」に置き換え、ゲートオープナーとして全国に配置したいと考えており、そのツールとして利用されようとしているのが「新専門医制度」の総合診療専門医だと協会は分析している。

 これら改革の結果は、現在の開業医の在り方の否定であり、国による統制の強化であろう。

 我々は、世界から羨望される国民皆保険制度を育て、発展させた原動力は、住民の命を守る医師としての専門性と医業経営を一身に背負う「開業医」の存在にあると考えている。保険医として、「保険で良い医療」と「保険で良い医業経営」の両立を目指して、そのバランスに配慮した医療活動と制度改善運動(保険医運動)に取り組んできたからだ。

 今回の医療研フォーラムでは、我々自身の手でこの「開業医」の果たしてきた役割を明らかにし、確信を持ってすべての保険医と国民に対し発信できるよう、全国の保険医会・協会会員による実践報告を受けたいと考えている。それを「開業医医療」を守る運動の起点としたい。

 京都協会の会員諸氏からも、多数の演題への応募を期待いたします。

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