2025年11月10日から22日までブラジルのベレンでCOP30(気候変動枠組み条約第30回締約国会議)が開催されました。9月の国連総会で、米国のトランプ大統領は「気候変動は史上最大の詐欺」と演説し、パリ協定から脱退、COP30への出席も拒否しました。日本からは石原環境大臣をはじめ、多くの環境団体等が参加しました。今回の会議では、産業革命前と比べ1・5℃まで地球の平均気温を抑えるとした「パリ協定」(COP21)の下、CO2などの温室効果ガス(GHG)の排出を50年度に実質ゼロにするだけでなく、30年までに半減しなければならない、世界のGHG排出量の60%を占める化石燃料対策を進める必要があることが確認されました。しかし、「化石燃料からの脱却」のロードマップを作成することをEU、英国、ラテンアメリカ諸国は強く主張しましたが、サウジアラビアなどの産油国、ロシアなどが強く反対し、最終決定文書には盛り込まれませんでした。それでも、「化石燃料からの脱却」と30年までに森林減少を止めるロードマップを議長国ブラジルが、各国や専門家、さまざまな関係諸団体と連携し、来年のCOP31に報告することを表明しました。
「化石賞」とは気候変動対策で最も後ろ向きの行動や発言した国に贈られる不名誉な賞です。始まりは99年ドイツで行われたCOP5で、この時日本はこの賞をもらっています。コロナ禍後でも、今回まで6年連続で受賞しています。化石賞を主催するのはClimate ActionNetwork(CAN)で、130カ国の1800以上の団体からなる世界最大のネットワークです。授賞式は骸骨のコスチュームを身にまとったプレゼンターが進行します。ユーモアを交えてGHGなどの取り組みを改善してほしいという、激励の賞の意味合いもあります。今回のCOP30で、①日本は先住民の権利を侵害(オーストラリアで巨大ガスプロジェクトに資金を提供し、先住民の生活を圧迫している)②交渉における正義を阻み(正義、公平性、地域住民の声を反映する制度的枠組みを採り入れることに反対している)③化石燃料の延命策を「解決策」対応として売り込んでいる(CO2を回収・貯蓄﹇CCS﹈、水素、アンモニア混成を「解決策」と称して推進している。問題を隠して化石燃料を延命する技術的対応策であって終焉をもたらすものでない)という三つの理由で受賞しました。
日本は「化石燃料からの脱却」のロードマップの声明を支持しませんでした。日本の23年度現在の電源構成は原発9%、再エネ23%、火力69%です。25年2月に作成した「第7次エネルギー基本計画」では、40年度の電源構成は原発2割、再エネ4〜5割、火力3〜4割を目標としています。11年の東日本大震災に伴い、重大な福島第一原発事故を経験し、廃炉にかかる費用・年数も不明なままいまだ原発に依存し、G7で唯一石炭火力発電からの脱却を表明しない国です。これでは「化石賞」を受賞しても仕方ないでしょう。本気で「パリ協定」に取り組むのであれば、50年度には化石燃料、原発に依存せず、水力、風力、太陽光発電などの再生可能エネルギー100%に転換しなければなりません。私たちは省エネ、移動手段の転換、食品ロスや廃棄物の削減などの日常生活での積み重ねに努力しますが、政府・自治体には「パリ協定」の完全実施、脱原発、再エネ100%を願ってやみません。(環境対策委員山本昭郎)
参参考文献
高村ゆかり「COP30多国間協調への決意」『世界』2026年1月号
CAN-JAPAN プレスリリース:日本がCOP30にて「本日の化石賞」を受賞(2025年11月13日)







