2026年度診療報酬改定について財務・厚労大臣折衝が25年12月24日に行われ、2月に中医協の答申が予定されている。協会は地区医師会との懇談会や会員アンケートで寄せられた意見を踏まえ、26年度改定に向けて厚労省と懇談や要請を実施してきた。大臣折衝を受け、理事長談話を発表した。
談話・改定率合意に対して
25年12月24日、上野厚生労働大臣と片山財務大臣が折衝し、26年度診療報酬改定率について本体プラス3・09%の引き上げで合意した。26年度に2・41%、27年度に3・77%を段階的に措置する。内訳は①賃上げ分プラス1・70%②物価対応分プラス0・76%③食費・光熱水費分プラス0・09%④経営環境悪化を踏まえた緊急対応分プラス0・44%⑤適正化・効率化分マイナス0・15%⑥その他プラス0・25%である。
なお、実際の経済・物価の動向が大きく変動し、医療機関等の経営状況に支障が生じた場合は、①〜③について27年度予算編成で必要な調整を行うとしている。
本体3%台の引き上げは1996年度の3・4%以来、30年ぶりとなる。まずは本体プラス改定とした政府の英断を評価したい。
しかし『大臣折衝事項』には、地域医療の最前線に立つ我々保険医の希望を叶える改定となるのか、強い不安を持たざるを得ない記述が列挙されている。
①は「賃上げ対応拡充時の特例的な対応として措置」と記載されていることから、対象がベア評価料等の届出医療機関に限定されないか懸念する。②は病院プラス0・49%、医科診療所プラス0・10%とされており、診療所は冷遇されたと言わざるを得ない。病院も「担う医療機能に応じた配分」とされているため、急性期医療機関に重点配分され、中小病院や回復期、地域包括ケア、慢性期の病院への配分が甚だ不安である。③は患者負担増により賄われる。④は病院プラス0・40%、医科診療所プラス0・02%とされ、加えて「施設類型ごとのメリハリを維持する」とされており、②同様不安だ。
特に⑤は問題だ。財政審『秋の建議』を踏まえれば「後発医薬品への置換えの進展を踏まえた処方に係る評価の適正化」では一般名処方加算や後発医薬品使用体制加算の廃止・引き下げが、「実態を踏まえた在宅医療・訪問看護の評価の適正化」では在医総管・施医総管の要介護度に応じた評価の導入が、「長期処方・リフィル処方の取組強化等による効率化」では生活習慣病管理料の複数月に一度の算定制限導入、処方箋料の引き下げ、リフィル処方箋発行の強要等が懸念される。つまり、診療所外来医療の「狙い撃ち」を危惧する。
24年度改定ではマイナス0・25%の「適正化・効率化」により、多くの診療所が10%から15%の減収となった。帝国データバンクによれば24年に31件の診療所経営事業者が倒産、25年は10月までに22件、通年では26件前後が倒産の見通しとされている。25年11月8日付『東洋経済』は「廃業や解散・休業という形で事業を停止した診療所経営事業者は、近い将来に年間で1000件に達する可能性」を示唆した。
今回の改定でも再度診療所を「狙い撃ち」した点数改悪が実施された場合、多くの診療所が倒産、廃業等に追い込まれると強く懸念する。その結果、無医地区がさらに増加する可能性も否定できない。日本の「地域医療」の崩壊が目前に迫っている。『大臣折衝事項』が掲げる「類型施設ごと」の「メリハリ」ではなく、全ての保険医療機関の医業経営に資するような改定とすべきだ。そのためには、医療の現物給付たる診療報酬の大幅引き上げと算定要件の改善が必要だ。その確信を胸に、協会は中医協が答申するまで、粘り強く改善要請を続ける。
2025年12月26日
2026年度診療報酬改定
1. 診療報酬 +3.09%
(2026年度および2027年度の2年度平均。2026年度+2.41%(国費2,348億円程度(2026年度予算額))、2027年度+3.77%)
(注)2026年6月施行
2. 薬価等薬価
▲0.86%材料価格 ▲0.01%合計
▲0.87%(注) 2026年4月施行(ただし、材料価格は2026年6月施行)
詳細は『グリーンペーパー』No.353(本紙同封1月25日号)に掲載







