(70歳代前半女性)
〈事故の概要と経過〉
患者は人間ドックで胃炎を指摘されたため、本件医療機関でピロリ菌呼気試験検査を受けた。本件医療機関の事務員は、検査の過程で患者にユービット錠を服用させる際、本来であれば、精製水で飲ませるところを誤って消毒用アルコール(「アルパワー」)で飲ませてしまった。今回、飲用させたアルコールは過去に行政から支給されたもので、当時、アルコールを入れておく専用の容器がなかったため、その代用として精製水の容器に入れ「アルパワー」のラベルを貼付した上で、精製水が保管してある場所とは別の場所に保管していた。
しかし、検査当日、原因は不明であるが、なぜか精製水の保管場所にアルコールの入った容器が混じっていたため、事務員が間違えてその容器を手に取り、よく確認せずに患者に飲用させてしまった。容器には「アルパワー」のラベルの反対側に「精製水」のラベルも貼付してあった。
その後、患者は少し飲用した時点で「苦い」と訴えたが、事務員は患者の訴えの原因を確認することなく、そのまま飲用するように指示した。さらに、患者は約50ml飲用した時点でも再度「苦い」と訴えたが、事務員は患者に「精製水」のラベルが貼付した容器を見せた上で、残りを飲用させた。結果、患者は濃度73%の消毒用アルコールを100ml飲用することとなった。しかし、患者が再三「苦い」と訴えていたこともあり、医師自らが確認のため飲用したところアルコールであることが発覚した。すぐに、医師は患者に精製水とアルコールを間違えた旨を説明し、経口的に水を飲用させ、さらに血管確保を兼ねて補液を開始した。しかし、患者は徐々に酔っ払い、もうろうとしてきたため、A医療機関に救急搬送した。A医療機関では、胃洗浄をした後、持続点滴にて経過観察とした。翌日、患者は覚醒し、肝機能にも問題がないことを確認した上で、退院となった。退院の翌日には、医師は患者宅を訪問し、今回の経過や事故原因、今後の改善点などを説明した上で、医療費等を医療機関側で負担することを約束した。
患者側からは具体的な要望等はなかったが事務員に対して強い怒りを表した。
医療機関側は全面的に過誤を認めた。
紛争発生から解決まで約1カ月間要した。
〈問題点〉
患者が何度か違和感を訴えたにもかかわらず、事務員は具体的に原因を追究することはなかった。その結果、急性アルコール中毒を発症させたことは医療機関の過失であり、有責と判断せざるを得ない。
医師の監視下と言えども、事務員に医療行為の一端を担わせることは問題であると指摘した上で、今後は医師が行うように改善を求めた。
〈結果〉
医療機関側は全面的に過誤を認め、賠償金を支払い示談した。
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