24年度は7割が赤字 経営悪化で病床削減手上げ  PDF

府内病院を対象に調査 緊急要請書を首相らに提出

 協会は8月20日〜9月10日、京都府内の全病院(158病院)を対象に「病院経営・病床存続・医療提供体制等に係るアンケート調査」を実施した。調査結果に基づき「適切に医業費用が評価された診療報酬体系の確立と物価高騰など緊急性を要する課題への財政措置を求める緊急要請」をとりまとめ、10月3日付で石破茂内閣総理大臣、加藤勝信財務大臣、福岡資麿厚生労働大臣らに送付、提出した。同日、厚生労働省と懇談し、要請内容の実現を訴えた。

病床削減への手上げ2割超

 調査には65病院が回答(回答率41%)。2024年度の国の補正予算として組まれた病床数適正化支援事業(病床削減に対する補助金)には15病院(23%)が経営・収支状況の悪化等を理由に手上げしていた(図1)。中には「121床以上」手上げした病院もあった(図2)。

25年度も多くの病院が赤字見込み

 また、2024年度の医業利益率は7割強の病院が赤字で、6%を超える赤字病院が3割あり、2025年度の医業利益もすでに約6割の病院が赤字を見込んでいた(図3)。

診療報酬と補助金等の組み合わせが適切

 国が進める医療政策については、賛同「できる」「できない」の回答が拮抗。一方、国が医療機関を重要な社会インフラとして守ろうとしているとは「思わない」との回答が86%を占めた。物価高騰分など変動ある医業費用への適切な対応方法は「診療報酬と補助金等の組み合わせ」による対応との回答が74%で、最も多かった(図4)。

診療報酬の適切な評価と迅速な物価高対応を

 調査結果に基づき要請書では、▽物価・人件費など適切に医業費用を評価した診療報酬体系の早急な構築▽診療報酬では迅速かつ個別的な対応が困難なことから、即応性が求められる物価高騰などへの対応への都度、速やかな財政措置の実施▽財政措置にあたっては、各病院の診療報酬算定額に、前年同時期からの医業費用または物価の上昇率を加味して導き出した金額を病院・施設ごとに申請・交付する仕組みなどの検討―の3点を要請した。

物価高対応は単価補正等より財政措置で

 厚生労働省との懇談では、物価高騰などへの対応には即応性が求められることから、診療報酬改定や単価補正等によらず財政措置による対応が適切と訴えた。
 今回の要請書と調査結果の全容は協会ホームページに掲載している。調査にご協力いただいた京都府内の病院のご担当者には厚くお礼申し上げる。

図1 病床適正化事業への手上げ
手上げした23%(15)
手上げしていない72%(47)
手上げしたかった5%(3)

図2 何床程度「手上げ」か

10床以下47%(7)
11床〜60床40%(6)
61床〜120床7%(1)
121床以上7%(1)

図3 2025年度の医業利益見込み
明らかに赤字の見込み32%(21)
おそらく赤字の見込み26%(17)
±ゼロなど微妙20%(13)
黒字の見込み12%(8)
分からない 9%(6)

図4 医業費用に対する適切な対応方法
診療報酬による評価 12%(8)
補助金等による財政措置11%(7)
診療報酬と補助金等の組み合わせ74%(48)
分からない2%(1)
その他 2%(1)

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