協会は24年度第2回コミュニケーション委員会を協会会議室とウェブ併用で4月26日に開催。地区委員21人、協会から10人が出席した。「全世代型社会保障改革としての医療改革に対抗する保険医運動の課題―医業と医療のどちらも守る実践の重要性―」をテーマに意見交換した。委員からは医薬品供給不足や医療現場の人員不足など、地域医療を揺るがす課題への懸念の声が相次いだ。
2020年以降、後発医薬品メーカーの不祥事や原材料の海外依存により、医薬品不足が常態化。医療機関や薬局では今もなお代替薬や処方変更に迫られる状況が続いている。委員からは「必要な医薬品が入手できず、診療に支障を来している。後発医薬品の推進がかえって供給不安を招いた。基幹医薬品はコメと同様に国内生産比率を政策的に確保すべきだ」との意見が出された。OTC医薬品に関しては、医療の営利化や保険制度のあり方、安全性の確保に深く関係する重要課題として複数意見が出された。
協会は「医薬品供給不足は現場の診療を脅かす重大な問題で、国の医薬品政策そのものに欠陥がある。市販薬が潤沢にある一方で医療機関は処方薬が不足し、構造的な矛盾が生じている。薬価の決定過程は不透明で、費用対効果に見合わない医薬品は見直すべき」と回答。医薬品供給と価格制度の抜本改革の必要性があらためて浮き彫りとなった。
医師の高齢化深刻
人材確保に課題
長年地域医療を支えてきた高齢医師の閉院が相次いでおり、担い手不足が深刻化している。委員からは「所属地区では団塊の世代の医師が多く、若手医師が少ない。後継者が見つからず診療所が途絶え、慢性疾患患者が行き場を失っている。医療DXや制度の複雑化が高齢医師を辞めさせる要因となっている」「医師の偏在のみならず、看護師や事務職員が不足しており、多くの医師が頭を抱えている」との意見が出された。協会からは「診療所承継や地域定着を支援する制度設計が必要不可欠だ。医師過剰対策と言って医師の減少をもくろんでいる。国は医療従事者確保の位置付けが非常に弱い」と指摘。地域医療の継続には実態に即した政策や支援が肝要と応じた。