5月5日ご逝去。享年84、下京東部。2013年6月から保険部会理事。
笑顔と朗々とした声
何事にも真正面な生きざま
前理事長 鈴木 卓
2013年より協会理事(保険部会)としてご活躍され、ともに課題に取り組んできた種田征四郎先生がお亡くなりになりました。私はあまりに突然の訃報に、何度も聞き返しました。保険部会の全員も強いショックを受けております。ご家族や医院従業員の皆さまもさぞご落胆のご心境だろうと深くお悔やみを申し上げます。しかし、おそらくご本人が一番驚かれたのではないでしょうか。それは協会はこの6月から新体制に移行しますが、種田先生には引き続き理事を快くお引き受けいただき、9月の会議出席まで予定されていたからです。
先生は自院が協会事務所に近いこともあって、会議には休むことなく来場していただいておりました。時々司会を担当されますが、ゆったりとした、大きく張りのあるご発声は84歳という年齢を感じさせない若々しさが伝わり、安心してお任せしておりました。
先生は産婦人科医として、多くの命の誕生や育みの場に立ち会われ、命の大切さを心より実感され、優しく接してこられました。その姿勢に多くの患者さん、妊婦さんが信頼を寄せ、最期まで現役を通し続けました。協会において、そんな温厚な先生が一度だけ声を荒げて心情を吐露したことがありました。それは、マイナ保険証を巡って、多くの医療機関・国民・患者を置き去りした政府の金と権力に飽かせた強引な普及策に対して心底怒りを表明された時で、その言葉の強さに驚かされました。一人一人の命や生活を何よりも大切に思っておられる先生の心中を直に耳にした一瞬でした。
申し訳ありません。我々はそんな先生に甘え過ぎました。少年のようなその笑顔と朗々とした声、そして協会に寄せる先生の思いにかまけて、色々なお役をお願いしてきました。今どうぞ荷を降ろして下さい。先生の何事にも真正面から取り組んでこられた尊い生きざまは残された我々が引き継ぎ、決して忘れることのない心の灯として守り続けてまいります。
Adios Mi Corazon