成功の一歩は自ら考え動くこと立地選定と事業計画は綿密に  PDF

勤務医向けに開業講習会

 新規開業を考えている勤務医を対象に「新規開業を考える方の講習会」を24年11月10日に協会会議室で開催し、7人が参加した。

 ひろせ税理士法人認定登録医業経営コンサルタントの常田幸男氏より「開業に至るプロセスのすべて」をテーマに講演。その後、医療法人秋桜会むらたファミリークリニック院長の村田真野氏(綴喜)より「先達の開業医としてアドバイスできることがあれば…」と題して、開業時の経験などを話していただいた。
 常田氏は冒頭に「これからの開業は医療DX、物価や人件費の高騰等への対応が必要。国は医師偏在対策の一つとして開業規制の議論を進めており、最新の情報を把握することも大事」と述べた。その後、開業に向けてスケジュールの全体像とポイント開業後に陥りやすい落とし穴と乗り越えるための対策を解説。
 開業場所に関して「日本医師会が運営する『地域医療情報システム』で各地域の医療圏や市町村ごとに年齢層別の将来人口推計や現状の医療提供体制を調べることができ、開業地選定の参考になる」とアドバイス。建築業者の選定は「建築費用だけでなく、医院建築の経験があるか。担当者とは打ち合わせで毎週顔を合わせることになり、一番重要なのは相性が合うかどうかだ」と述べた。
 開業後に陥りやすい症候群として、四つの事例を紹介。“必要以上の不安に駆られる症候群”は「開業当初に患者が少なく、多額の借入金を背負ってのプレッシャー、クリニックの存在に気づいてもらえるか等の不安が原因で陥る。対処法は運転資金をできる限り潤沢に確保。目標患者数(収支分岐点)を把握。“成功曲線”を理解し、増患のための工夫を根気よく継続すること」とアドバイスした。
 先輩開業医からのアドバイスとして村田氏は?何と言っても立地が大事。開業にかける労力の90%は立地選定に費やした方が良い。予測来院患者の生活圏を自分で調査して見極めること。業者の診療圏調査を鵜呑みにしてはいけない。「事業計画書」は必ず自分で作成してほしい。作成することで患者が毎日、最低何人来たら経営が成り立つのか、逆に何人だと運転資金が何カ月で枯渇してしまうか分かる―と述べた。
 最後に、曽我部理事より地区医師会への入会手続き、会員医師の経営と生活を守る保険医協会の各種共済制度や保険診療のサポートなどを説明した。参加者から「開業後の流れや課題が良く分かった」「勉強になった」との感想をいただいた。
 次回の講習会は、5月25日(日)に開催予定(案内は6面)。

講師の常田氏(上)、村田氏(下)
立地選定では実際に歩いて調査したと語る村田氏

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