社会保障“ごり押し”政策転換に期待
医療現場の矛盾や問題を明らかに
協会は綾部・福知山医師会との懇談会を24年12月21日に福知山医師会館で開催。地区から8人、協会から6人が出席した。福知山医師会の古村俊人理事の司会で開会。同会の井土昇会長からは開会に際し、「冷え込んできたが白熱した議論を期待している。保険医協会の情報提供に感謝申し上げる。本日はしっかり勉強し、明日からの診療に活かしていきたい」とあいさつがあった。
意見交換の中で、「高齢化率の高さに反比例し、対GDP比での社会保障給付率が他国に比して最低水準であり、財務省の経済対策や医療費削減一点張りの政策を疑問視している」「今次診療報酬改定前に出された5%削減情報の真偽を国に質し、実務者としての意見を発信すべき。改定は形だけプラスで実質はマイナスとなり医療機関に大きな影響を及ぼしている。社会保障・医療制度改革はじめ各種政策を数の論理でごり押ししてきた政権運営は先の衆議院選挙で転機になることを期待する」との声が上がった。
協会は「保険給付範囲の見直し(混合診療拡大)として長期収載品の選定療養化が打ち出された。保険外併用療養費の急速な活用拡大があらわになっているが、医療制度の根幹を揺るがす問題と捉えている。多数与党でなくなり、ごり押しができなくなったのは大きな変化。国会では自民党幹部から労働分配率の低下や大企業中心の内部留保、政治改革や政治資金問題解消に向けた発言が出され、世論を意識している証左である。医療分野も国に『対応せざるを得ない』流れに持っていきたい。会員から財務省への要請活動が必要との声が上がっており、効果的な方策を考えたい。医療現場での矛盾や問題の発信が重要であり、お力添えをお願いしたい」と述べた。
健康保険証を残す運動への疑問に対しては、「厚生労働省の医療DX、サイバーセキュリティ対策は遅れている。資格確認時の不具合等、保団連を通じ国に訴えているが、機敏な反応がないまま12月2日を迎えてしまった。医療機関や患者が困らないよう情報発信している。オン資対応義務化以外の医療機関や電子化に対応できない患者、マイナカード不保持の人もいる。マイナ保険証の利用は良いが、そうでない手段(健康保険証)があっても何も不都合はない―というのが我々の主張であり、各党の健康保険証廃止撤回法案は保険医協会・保団連の運動によるものだ」と応えた。
検体検査に係る検体回収の費用を企業より求められて困っているとのコミュニケーション委員会(本紙第3184号既報)での発言を受け、「検体検査実施料の適切な評価」を厚労政務三役等に要望(12月11日付)したことを報告した。
最後に綾部医師会の大槻匠会長から、「情報提供の内容は地区医師会でも共有し、今後につなげていきたい」とあいさつがあった。
出席者14人で開催された綾部・福知山医師会との懇談