北・上東・西陣医師会と懇談11月28日 ウェブ会議  PDF

政府が進める医療DXは拙速で乱暴
事務作業増大の一途に懸念の声

 協会は京都北・上京東部・京都市西陣医師会との懇談会を24年11月28日にウェブ会議で開催。地区から7人、協会から6人が出席した。上京東部医師会の飯田明男会長の司会で開会。京都北医師会の小仲良平会長より、社会が抱える問題が医療に大きな影響を与える中、課題解決に向けて地区医師会と保険医協会の連携をより一層深めていきたいとあいさつがあった。
 意見交換では主にマイナ保険証やオンライン資格確認、電子処方箋など医療DXについて議論。地区からオンライン請求に関して基金・国保で対応の差異があることや、オンライン資格確認に続き電子処方箋導入の案内が届いており、初期費用や維持費がかさむことに懸念の声が出された。また、マイナ保険証への移行について、これほどの大きな制度変革を行うのであれば紙の保険証も残し、徐々に移行を目指すのが本来の姿ではないかとし、政府の医療DXの進め方は拙速で乱暴との意見が相次いだ。
 医療従事者への賃上げ対応としてベースアップ評価料が新設されたが、診療報酬の引き上げで賃上げを目指すべきとする意見や、評価料に関連して診療報酬の算定ルールが年々複雑化し、事務作業が増大していくことに懸念の声が出された。
 かかりつけ医機能報告制度に関しては、仮に複数のかかりつけ医を認めたとしても、メインとサブのかかりつけ医では何らかの点数上の差異を設けることは明らかで、国民皆保険制度が崩壊するのではないかとの意見が出された。
 協会は政府の医療DXの進め方が乱暴との意見は全くその通りと回答。「マイナ保険証の利用率が思うように上がらず、今になって資格確認書を案内している。電子処方箋も導入医療機関が少なく、トラブルも非常に多いと聞いている。医療者、患者にとって真に役立つ医療DXとは言えない。基本に立ち返り、全体のシステムの見直しが必要だ」と述べた。
 さらに、「かかりつけ医機能報告制度はかかりつけ医一人か、複数人かが曖昧なまま最終報告が出されたが、このままでは運用時の混乱は必至。かかりつけ医であることが診療報酬上で評価されるなら医療機関に不平等とならないよう声を上げていきたい」とした。
 最後に京都市西陣医師会の田中誠会長から「社会保障に関わる課題で率直に意見交換でき、良い機会が得られた。出された意見を政府や厚労省に働きかけてほしい」とあいさつがあった。

出席者13人で開催された北・上東・西陣医師会との懇談

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