私のお正月 嶋 和恵(西陣)  PDF

 私の子どもの頃の大晦日と言えば、日本レコード大賞→紅白歌合戦→ゆく年くる年でした。全国各地の年末の風景が映し出され、厳かな空気の中、除夜の鐘が響いてきます。一通り日本のお寺が流れた後、世界各地の情景が中継されます。
 世界で一番早く新年を迎えるのがオーストラリアです。シドニーでのカウントダウン花火の盛大さに私の目は釘付けでした。いつか世界で一番早い新年を味わってみたいと思っていました。
 時を経てある年、念願かなってシドニーへ。
 夕食後21時からのダーリング・ハーバーでのプレカウントダウン花火を楽しんだ後、メイン会場のハーバーブリッジに向かいます。現地では朝から場所取りし、ビールで盛り上がっている人々でいっぱいです。ようやく隙間を見つけて座り込み、その時を待ちます。カウントダウンが始まり、「3、2、1、ハッピーニューイヤー!」とハイタッチして大騒ぎです。ハーバーブリッジからも海上からも、はたまたビルの屋上からも花火が打ち上げられ、大歓声です。
 この一連の歓びが何物にも代え難く、また行きたくなってしまいます。
 9・11テロの年は会場に入るのに手荷物検査がありました。ある年は土曜日が重なり、過去最高の人出で身動きが取れません。まして体格の小さい我々は圧死しそうでした。またある年はクルーズ船で夕食やビンゴゲームなどをしながら海上から花火を見て回りました(この時、私は赤ワインをゲットしました)。
 カウントダウン花火の興奮に味を占め、他国へも出かけてみました。が、またいつかカウントダウン花火を楽しめるなら、今度はシドニーで浴衣を着て「カフェシドニー」から見たいと願っています。

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