マイナ保険証なくても受診可能 政府は国民への周知徹底を コミュニケーション委員会  PDF

 協会は10月19日、24年度第1回コミュニケーション委員会を開催。地区から18人、協会から9人が出席した。「社会保障制度の行方と医療提供体制改革」をテーマに意見交換した。マイナ保険証や資格確認書に関する情報不足、今次診療報酬改定の問題点に関して委員等から意見が出された。

 開会に際し鈴木理事長は「総選挙を控えているが、医療提供体制改革は強力に推し進められており、政権が代わったぐらいでは大きく変わらないだろう。2025年は医療を取り巻く状況が大きく変わる。ご意見を賜り、今後の協会活動に活かしていきたい」とあいさつした。
 政府は12月2日から現行の健康保険証の新規発行廃止を決めているが、委員から「マイナ保険証の宣伝ばかりしているが、資格確認書の情報が不足している。1年の猶予期間に国の責任で資格確認書の周知が必要だ。顔認証システムは認証できない場合があり、健康保険証頼りになっている。健康保険証がなくなるのは非常に不安だ」との意見が出された。
 協会からは「オンライン資格確認では会員医療機関の7割がトラブルを経験している。その内の9割が現行の健康保険証で資格を確認している。協会は医療DXに反対ではなく、国のやり方が拙速で、医療機関と患者を置きざりにしていることを問題視している。資格確認書に関しては、協会でポスター等を作成して従来の健康保険証が使用できることを周知し、患者に安心して受診してもらう取り組みを行っている」と回答した。
 さらに委員から「顔認証システムのトラブルに関して、特定のメーカーで起きている問題なのか、連携しているレセコンとの間に問題があるのか等、トラブルの発生頻度を調査してはどうか」との意見が出され、協会からは「顔認証システムのトラブル発生頻度に関しては可能な範囲で調査を検討したい」と回答した。
政策誘導的な
診療報酬改定
 6月の診療報酬改定に関して、委員からは「物価高騰が進み、最低賃金も上昇しており、これらを踏まえた診療報酬改定や補助金等がなければ医院経営の継続は難しい」「ベースアップ評価料の算定が非常に難しい。届出制ではなく、全医療機関一律に算定できるようにすべきだ」との意見が出された。
 協会からは「診療報酬が政策誘導的に使われており療養の給付とは関係のない点数が新設されている。ベースアップ評価料は診療報酬とは別のシステムで導入するか、基本診療料の引き上げで対応すべきだ。高齢者への高度救急医療は提供せず、切り捨てる方向で進んでおり、医療費抑制を図ろうとしている」と問題点を指摘した。
 その他にも、医薬品の供給不足問題や医療機関少数地域での検体回収の実情等で意見交換した。

従来の保険証の使用可能を周知する協会ポスターの活用を呼びかけ

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