時は秋、暑かった時節をようやく通り過ぎ、まさに夏から冬へ移ろいそうな気配である。実は今こそ、運動を始めるのに打って付けなのである。熱中症への危険も和らぎ、朝晩の冷え込みもさほどでないこの時期は一念発起して散歩、ジョギング等を開始するのに適している▼いみじくも、今般の診療報酬改定で新設された「生活習慣病管理料」には運動の項目が取り上げられており、当該項目を再認識された方々も少なくなかったことと推察される。しかし盛夏中、短時間の外出さえままならなかった人も多かったことから、体力、脚力は相当低下しているはずであり、生活習慣病の各指数は軒並み悪化した患者が多かったのではなかろうか▼前記管理料を算定される場合を含めて、療養指導上、運動療法をこの時期に開始するよう勧めるにあたり、釈迦に説法ではあるが、基礎疾患に十分留意した上での適切な運動強度を念頭に置かれたい。冠動脈リスクを複数有する場合、運動の可否を慎重に判断する必要性は言わずもがなであろうが、その危険性を熟知していない患者サイドへの啓発は我々医療従事者の重要な責務と考える▼ジョギングの始祖と呼ばれる、ジム・フィックス氏がまさしくジョギングの最中、50代の若さで心筋梗塞により突然死に至った教訓を忘れてはいけない。(登山子)
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