オンライン資格確認トラブル調査 第4弾 一向に改善せず 有効期限切れが増加する懸念  PDF

 全国保険医団体連合会は9月19日、オンライン資格確認トラブル事例アンケート第4弾の中間集計結果を発表した。1万242件の回答のうち、70%が「トラブルがあった」と回答。調査は24年5月以降の状況を聞いたもので、国は4月までに総点検・確認作業を終了したとするが、保険証の新規発行が終了する12月2日まで3カ月を切ってもなお、一向に改善していない実態が示された。
 翌20日の記者会見で、河野太郎デジタル相(当時)は「マイナ保険証を使う人が増えれば、トラブルが増えるのは当然」とし、「百害あって一利なし」と調査そのものを否定した。一方で、自民党の総裁選で「保険証併用」に言及した石破茂新首相には、それを守らせることが重要となる。
京都でも7割が
トラブル
 京都の医療機関(歯科除く)は377の回答があり、68%が「トラブルがあった」と回答(図1)。前回(23年12月)よりも8ポイント増えている。
 内容は「●が表記される」75%、「資格情報が無効」53%、「カードリーダーでエラー」52%の順で前回と同傾向である。
 保険資格が確認できず、「いったん10割負担を患者に請求」事例も25医療機関で少なくとも36件あった。10割負担の説明を聞いて受診せず帰った事例も全国で複数報告されている。
 今回項目に加わった「マイナ保険証の有効期間が切れていた」も25%(63件)あった(図2)。マイナカードの電子証明書5年の有効期限が切れたまま更新されていない事例は今後増える可能性がある。
 トラブル対応で最も多いのは依然「健康保険証で確認」86%であった(図3)。
 政府は5月から7月にかけ、利用促進のため医療機関に対して補助金を配るなどし、患者へのマイナ保険証での受診の呼びかけを求めた。このことで患者とのトラブルが「あった」との回答は6%。「患者に怒られた」「嫌な顔をされた」「受診せずに帰ってしまった」など、患者との信頼関係への影響の事例も寄せられている。そもそも政府の指示に「協力していない」も21%あった(図4)。
 廃止後の受付業務は「忙殺される」65%、「待ち時間が長くなる」48%(図5)。
 12月2日の保険証の廃止に「賛成」は7%、「残すべき」と「延期すべき」は合わせて93%となった(図6)。
市民の8割
「残してほしい」
 京都新聞(9月2日)など全国18の地方紙が8月に実施した合同アンケート(1万2000人が回答)では、保険証を残してほしいという意見が8割を占めた。同紙には厚生労働省による「現在の保険証が、マイナ保険証と資格確認書の2種類になると捉えてもらえれば」とのコメントが紹介され、事実上資格確認書が代わりになると認めた。保険証廃止への根強い不安から、市民の8割、医療機関の9割が存続を希望している中で廃止を強行すると深刻な禍根を残す。協会は京都弁護士会などと10月26日に市民向けシンポジウムを開催する(関連4面)。

鈴木理事長らが四条烏丸で訴え
 医科・歯科の保険医協会は四条烏丸で街頭宣伝を10月1日に行った。有志で参加した弁護士を含め約30人が「保険証を残そう」との訴えを行った。

調査期間=2024年8月13日 31日
調査方法=ファクス
調査対象=ファクス登録会員1720人
回答数=377人(回答率22%)

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