6月12日、世界経済フォーラム(WEF)がまとめた2024年グローバルジェンダーギャップレポートが発表され、男女格差の達成率を比べる「ジェンダーギャップ指数ランキング」で日本は146カ国中118位でした。分野別で見ると、教育や医療へのアクセスでは男女間の平等をほぼ達成しているのですが、政治分野では113位、経済分野では男女の賃金格差が悪化して120位でした。この男女の賃金格差問題に関しては2022年の女性活躍推進法の改正により常時雇用する労働者が301人以上の企業は男女の賃金の差異を公表することが義務付けられました。これによって企業の労働環境が透明化され、賃金格差の解消が促されることを期待していたのですが、まだまだ成果は得られない状況のようです。まずは格差の実態を見える化しないと問題を認知できないといったところでしょうか。国にはさらなる対策の強化に早急に取り組んでいただきたいものです。
男女平等の取り組みが停滞しているのは医療の世界でも同様です。2023年の厚労省の賃金構造基本統計調査を基に全国保険医団体連合会が調査・分析した結果、女性医師の平均賃金は男性医師の75%程度にとどまっていることが分かりました。残業代や宿日直手当など超過労働給与を含まない所定内給与と賞与等の年額で比べても女性は男性より348万円少ないという結果が出たのです。
また、研修医に当たる30歳未満でもなぜか女性は男性の90%程度しかもらっておらず、スタート時点から説明できない男女賃金格差があることが分かりました。
なぜ、そんなことが起こるのでしょうか。
大きく分けて二つの原因があると思います。一つは男女の役割分担についての社会通念、習慣、しきたりなどが根強く残っていること。そしてもう一つは日本独特の仕事優先の考え方があるからではないでしょうか。これらの原因を解決するには男女の役割へのイメージを払拭するような意識改革が必要です。大まかな施策を打ち出すだけでは浸透しにくいので、まずは管理職に対する研修や指導、働く人たちがセミナーや講演会などに参加することにより、なぜ男女平等が必要なのかといった基礎から学ぶ必要があると思います。
また、男女の区別なく働ける環境づくりも大切です。それには性別のイメージに引っ張られない客観的で公正な評価制度の確立も必要ですし、結婚や育児などを理由にして女性がキャリア形成を諦めないようにする取り組みも必要です。男性も女性もまずは問題意識をしっかり持つところからですね。
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