乗り鉄ドクの趣楽悠遊 vol.24  PDF

天あめ 地つち 山陰を走る「ネイティブ・ジャパニーズ」列車(JR西日本)

 米子駅で新型振り子電車のやくもにお出迎えされた(写真1)観光列車「天地あめつち」は、旧・国鉄のキロ47系気動車を改造した2両編成。車体の紺こん碧ぺき色は山陰の美しい空や海、メタリックな色彩は天あまつ神々、車体下部の銀色の帯模様は山陰の美しい家並みと多た々た羅ら製鉄に因ちなむ日本刀の刃は紋もん、自然や神話を題材にした外装です。豊かな自然、神社、お酒、歌舞伎、相撲など、神話が生まれ日本の文化のルーツがある山陰地方「ネイティブ・ジャパニーズ」に、「古くて新しい日本」を発見しようというコンセプトでデザインされました。「天」に対して光の放射状の縦ライン、「地」に対して海の横ラインを対照的に配置し、モチーフに天つ神々・太陽・七つの八や雲くも・金きん鵄し・山・海・白兎・ワニ(鮫)が散りばめられたメタルなロゴが光ります(写真2)。
 車内は白木木目の質感で彩られ、因州和紙、石州瓦、弓浜絣、倉吉絣、安来織、出雲織、隠岐の黒松、智頭杉など、山陰の工芸品がちりばめられています(写真3)。洗面台の手洗い器は岩井窯の焼き物が。デッキには出雲神楽の衣装が。風情と装飾にも趣があります。
 車内カウンターの極めつけは「山陰銘酒めぐり」。4種類の日本酒小瓶の詰合せで、出雲編(島根県のお酒)と因幡編(鳥取県のお酒)の2セットがあります。両方を購入して「甘えび姿焼き」と「カニのツメ」をアテに8種の酒をちびちび嗜たしなみます。『名探偵コナン』の作者・青山剛昌氏の出身地のコナン駅(由良駅)(写真4)、瓦屋根の集落と日本海を眺めての旅は格別で、八岐大蛇やまたのおろちならぬ“八やつ股またのお酒”となってしまったぁのでした。終着の鳥取駅ではスーパーはくとがお出迎え(写真5)。
 今回の推し地酒、豊の秋純米吟醸花かんざし(米田酒造、松江市)。
 (あめつち 2024年3月乗)

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