コロナ対策検証・研究会発足 コロナ禍の医療実態 全国調査実施へ  PDF

 コロナ禍で社会福祉施設等や自宅で留め置かれ、必要な医療が提供されなかった実態が全国でどの程度発生していたのかを明らかにするべく、福祉国家構想研究会(事務局:京都府保険医協会)に参加する研究者や公益財団法人日本医療総合研究所が新型コロナウイルス感染症対策検証・研究会を立ち上げた。研究会の代表は、伊藤周平氏(鹿児島大学教授)、岡 祐司氏(佛教大学教授)、横山壽一氏(佛教大学客員教授・金沢大学名誉教授)、長友薫輝氏(佛教大学准教授)。研究会は準備会を7月6日に保険医協会会議室で開催し、代表の他、医療・福祉関係者、当事者、メディアら18人が参加。9月の調査開始に向けて意見交換し、今後の調査の進め方を確認した。
 調査では、全国の保健所、医療機関、介護・障害福祉施設へのアンケート調査の他、患者・家族などへの聞き取りを予定している。研究会は、今後新興感染症が起きた時に再び同じことが繰り返されることがないよう、医療・公衆衛生の法制度や政策の問題点を明らかにし、対応策を提示する。
 コロナ禍で高齢者等の福祉施設で入所者が感染しても入院できずに施設に留め置かれる「施設内留め置き問題」の背景にはこれまで国が進めてきた医療費抑制政策があると考えられる。しかし、国はコロナ対策の検証をすることなく、病床削減をはじめ、これまでの医療費抑制政策を推し進めている。コロナ禍では感染拡大が起きるたびに病床や医療従事者の不足で、多くの感染者が自宅療養を余儀なくされ、自宅療養中や入院調整中に重症化し死亡する人も続出した。調査では患者、現場従事者の直面した困難についても把握し、今後の改善につなげる。

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