やさしい電子帳簿保存法対応入門 3
医業における電子取引
医師・歯科医師の業界では、医業DXとしてデジタル化が急速に進んでいることと思います。しかし、電子帳簿保存法が対象としているのはマイナ保険証や電子カルテ、医療行為のデジタル化に関する証憑類などではないと考えて良いでしょう。したがって、他の産業分野と同じ課題に直面していると言うこともできます。
例えば、アマゾンで備品購入をしたとします。インターネットでアマゾンのサイトからその購入に関する請求書や領収書をダウンロードし、保管しなければならないことになります。あるいは、キャッシュレス決済やクレジットカード利用の明細書も郵送ではなく、最近はインターネットからダウンロードすることが多いですが、自身でダウンロードして保管しなくてはなりません。ただし、法は電子メールのバックアップまでは求めていません。
もっとも、受け取った紙の請求書や領収書などをわざわざPDFにして保存することまでを求めているわけではありません。
メールやファクスの場合
電子メールの全てが保存の対象になるわけではりません。メールに添付された取引情報は、その添付ファイルを保存します。メール本文に、請求書などの取引情報が記載されている場合についてだけ、その取引情報が記載されたメール本文を電子データのまま保存します。この場合、確定した取引金額の記載がなくても、値引き理由など取引内容が記されているような時は、保存しておきたいところです。
保存媒体の定めはありませんので、ハードディスクやクラウド保存でも可。
また、ファクスにより取引情報を授受する場合はその仕組み上は電子取引と考えられますが、一応、「書面による取引があったものとして取り扱う」(電帳法取扱通達7―8)とされています。ただし、複合機のファクス機能を用いて電子データにより送受信し書面に出力することなく保存する場合は、電子取引に該当し、保存要件に従った電子保存が必要になります。