医会寸評  PDF

 人の噂は噂でしかないが、火のないところに煙は立たない。今ちまたで人気のウェブ漫画『脳外科医 竹田くん』をご存じだろうか。病院あるあるでは済まされない内容。医療過誤を繰り返す若い医師と彼を取り巻く環境、状況を笑い飛ばせない。医療過誤は起こらないことが一番いい。しかし医師を取り巻く環境も含め、残念ながら起こってしまえばどうすべきなのか。もう十数年以上、医療安全に携わっている私も改めて考え直してしまう▼生成AIがここ2年で急激に進んでいる。医療の診断・検査・手術・投薬・治療の重大な方針決定に関係してくることは想像に難くない。自動車運転の全自動もほぼ可能になってきたらしい。ただし100%の安全はまだあり得ない。わずかな偶然・誤動作が起きないとは限らない。その時、被害者やその家族は仕方ないと簡単に納得できるだろうか▼AIの回答は与えられた質問に関連性があり、正確率の高いものから選ばれているという。自分がAIで運転した時に例外的な事象に遭遇したら、その責任を法的にも解決できるのか。AIに責任転嫁してしまえる時代を待つ前に、今の政治家の裏金問題も、解決策をAIに質問すればいい。国民も納得できる最善の答えをリアルタイムで出してくれるかもしれない。長々と国会で議論する問題とは到底思えない。(名)

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