窓の外は瀬戸内伊予灘の海。四国愛媛の伝統工芸や味、人情に触れる鉄道の旅物語。初代のキハ40系普通グリーン列車は引退し、キロ185系と186系の特急グリーン列車として伊予灘ものがたりは2022年4月に再デビューしました。「大切な人と過ごす時間と空間」をコンセプトに、予讃線旧線“愛ある伊予灘線”を走ります。1号車は茜<あかね>の章(写真1)。伊予灘の夕焼け空を連想させる茜。2号車は黄金<こがね>の章(写真2)。太陽や柑橘類の輝きを表します。3号車は陽華<はるか>の章(写真3)。暖かな沿線を彩る花々という意味が込められ、窓の大きい車両三つが旅物語の3章を彩ります。
往路は松山発八幡浜行の八幡浜編ランチコース。地上駅の松山驛、玄関改札を入ってすぐのホームから乗車するとすぐに瀬戸内風仏蘭西料理の門田フレンチ・伊予灘ミニコースが始まります。スープ、冷製料理、温製メイン料理は地産地消の野菜、果物、魚介揃いで、日本酒によく合うフレンチの逸品です。愛媛県酒造好適米「しずく媛」の純米吟醸地酒飲み比べセットが秀逸。同じお米から作った別の蔵の純米酒3種を利き猪口でいただきます(写真4)。初雪盃(砥部)、梅錦(川之江)、宮の舞(伊方)、山丹政宗(今治)、雪雀(北条)、大辛口(道後)、甘口から辛口まで2ラウンド6種類。青い空と海を燦燦<さんさん>と楽しんで嘗<な>めているうちに海近の名物駅、下灘駅に到着。外に出て楽しみます。伊予灘(瀬戸内海)沿いの海車窓を楽しんだ後、列車は海を離れて肱川の右岸を遡り、車窓は川に。そして城下町の伊予大洲に到着、その先は活気ある八幡浜駅に終着です。海、川、町の旅絵巻でした。
復路は同経路を松山に戻る道後編デザートコース。発車後すぐにアフタヌーンティーセット「伊予灘の菓織箱」の提供。ムースやタルトやスコーンやマドレーヌやパイやらスイーツがサンドウィッチとともに出てくる玉手箱は、伊予柑の紅茶(伊予灘View Tea)との相性が抜群です。五郎駅で狸駅長のおもてなしを受けて美しい夕暮れの伊予灘に感動。
今回の推し地酒(愛媛)。純米吟醸 梅美人 さくらひめ酵母(梅美人酒造、八幡浜)。
(伊予灘ものがたりU 2022年8月乗)
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