2024診療報酬こうみる4  PDF

リハビリ急性期評価も
実施者区分の影響注視
整形外科 理事 宇田 憲司
 整形外科への影響も伺える他科での変更項目を含め、これでは今後も診療継続できるかとの心配が先に立ち、不確定な未来への漠然とした不安に襲われる。自院の運営継続・承継はあり得るのか。全く主観的にしろ、否定的な思いにも陥りがちになろう。維持項目・変更項目を客観的に見てみる。
 医学管理料等では、前回改定で新設された二次性骨折予防継続管理料(B001:34)イ1000点、ロ750点、ハ500点が維持された上、有床診療所入院基本料または地域包括医療病棟入院料(新設)を届けた医療機関が届出可能の医療機関として追加された。
 500cm2以上での熱傷処置(J001-2)「3」が337点、「4」が630点、「5」が1875点、爪甲除去術(麻酔を要しないもの)が70点に引き上げられた。
 筋骨格・四肢・体幹への手術では、腱鞘切開術(K028、関節鏡下によるものを含む)が2350点に、骨折非観血的整復術(K044)「1」肩甲骨、上腕、大腿が1840点、「2」前腕、下腿が2040点、骨折観血的手術(K046)「1」肩甲骨、上腕、大腿が21630点、「2」前腕、下腿、手舟状骨が18370点に引き上げられた。ひょう疸手術(K090)「2」骨、関節のものが1470点に引き上げられた。
 注射料では、腱鞘内注射(G003)が42点に、脳脊髄腔注射(G009)「3」腰椎が160点に、滑液嚢穿刺後の注入(G010-2)が100点に引き上げられた。関節内注射(G010)は80点を維持した。
 麻酔では、トリガーポイント注射(L104)が80点から70点に減点された。比較的容易に実施できる項目は汎用されると実施総点数が大きくなることからか抑制されがちなのであろうか。
 検査では、抗シトルリン化ペプチド抗体定性または同定量(D014の24)が197点から193点に減点された。(ロ)関節リウマチに対する治療薬の選択のために行い、症状・所見変化から再度治療薬を選択する必要がある場合は、これまでは3月に1回に限りであったが、6月以上に1回に限りと延長され医学的必要性の明細書注記が必要とされた。治療薬の選択や変更では、関節リウマチとしての診断的所見変化での病状変化の評価には点数が高くなり抑制的に扱われやすくなるのであろうか。
 疾患別リハビリテーション料では、急性期リハビリテーション加算が新設。運動器リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料においても、起算日から14日間を限度として、入院患者への1単位につき50点が加算できる。
 運動器リハビリテーション料では、基準(I)(1単位)は185点で(イ)理学療法士による場合、(ロ)作業療法士による場合、(ハ)医師による場合、いずれの場合も同点である。基準( )は170点で、(イ)から(ハ)まで同点、基準( )は85点で、(イ)から(ハ)、さらに(ニ)イからハまで以外の場合も85点の同点である。実施者の資格の違いと実施総回数との差が今後どう点数評価されていくかに関心が持たれる。
 廃用症候群リハビリテーション料でも同様の改定が行われた。
 観血的手術療法への点数配分、リハビリテーション料への点数配分は、労働対価、その他経費を補填するのにそれなりの効用があろう。しかし、トリガーポイント注射(L104)が80点から70点への減点や、関節リウマチ治療での治療薬の選択や変更では、病状変化の診断学的評価に3月に1回に限りから6月以上に1回と延長され医学的必要性の明細書注記が必要とされるなど、今後とも点数が高くなることへの抑制的扱いが増加する時代的変化が現れ続ける可能性が伺われる。国民の疾病治癒・健康増進に大きく貢献する医療実践への改定を求める運動の継続が必要である。

日帰り手術改悪で大打撃
外科 副理事長  林 一資
 「外保連試案2024」等における手術に係る人件費や材料費の調査結果等を参考に、手術料の改定が実施された。主な汎用点数では以下の点数が引き上げられた。
 ア.K000創傷処理「3.筋肉、臓器に達するもの(長径10cm以上)」の「ロ.その他のもの」3090点(プラス400点)
 イ.K000 2小児創傷処理(6歳未満)「3.筋肉、臓器に達するもの(長径5cm以上10cm未満)」2860点(プラス370点)、「4.筋肉、臓器に達するもの(長径10cm以上)」4410点(プラス570点)
 ウ.K001皮膚切開術「3.長径20cm以上」2270点(プラス290点)
 エ.K005皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)「3.長径4cm以上」5010点(プラス650点)
 29手術が新設、11手術が準用点数から点数化された。腹部ではK721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術に、病変検出支援プログラム加算(60点)が新設された。胸部ではK475乳房切除術に、遺伝性乳癌卵巣癌症候群乳房切除加算(8780点)が追加。K476乳腺悪性腫瘍手術の乳癌センチネルリンパ節生検加算1の施設基準が緩和され、インドシアニングリーンによるもののみを算定する医療機関は、放射線科の標榜が不要になった。K476-4ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術について、「ア.一次一期的再建の場合」は、乳腺悪性腫瘍術後の場合における対象患者の条件がStage Aまで拡大された。
 診療所において大きな打撃となるのは、短期滞在手術等基本料1(日帰り手術)の改悪である。前回改定で施設基準が緩和され、多くの診療所が届出しているが、「イ.主として入院で実施されている手術」と「ロ.イ以外」に区分され、「ロ」は大幅に点数が引き下げられた(麻酔を伴う手術はマイナス1359点、それ以外はマイナス1359点)。「ロ」に該当するのはK005皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)の「3.直径4cm以上(6歳未満)」、K006皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)「3.直径6cm以上12cm未満(6歳未満)」、K070ガングリオン摘出術「1」、K282水晶体再建術「1.眼内レンズ挿入」の「ロ.その他」、K616-4経皮的シャント拡張術・血栓除去術の「1」「2」、K617下肢静脈瘤手術の「2、3」、K721内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術「1.直径2cm未満」、K743痔核手術「2.硬化療法(四段階注射法)」等24項目で汎用手術が並ぶ。まさに梯子を外された感がある。
 届出の必要はないが、施設基準を満たすことが求められる手術(通則5)、1歳未満の乳児に対する手術(通則6)の手術については、前年1年間の実施件数の院内掲示が施設基準に定められているが、原則、ウェブサイトにも掲載することとされた。ただし、自ら管理するホームページ等がない場合は対応不要。25年5月末まで経過措置があるが、対応に留意されたい。

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