医会寸評  PDF

 PDCAサイクルが唱えられるようになってかなり時間が経った。Plan計画→Do実行→Check評価→Action改善を繰り返すことで業務を最善化していく考え方だ。CheckのフェーズでPlanの問題点を抽出して改善し再びPlanを作るのだが、役人にはPlanの問題点を指摘して作成した人の面子を潰してはいけない論理があるように思えてならない▼保険証廃止問題では医療のIT化のためマイナ保険証を普及させる目的でPlanを立てたのだろうが、利用率が低迷。Planの根本的な問題点を改善することなく、利用しない者が悪いという分析になったのだろうか。そのため紙の保険証廃止という脅し、利用率が上がった医療機関には補助金を与える方策しかできないのかもしれない▼マイナカードの保険証利用という政策設計の段階からやり方が下手だったのではないか。例えば生活保護はマイナ保険証の対象外だった。生活保護は保険ではなく医療扶助という理屈なのだが、利用者側からすれば同じように利用できなければ混乱する。自治体による福祉医療なども対象になっていない▼逆にそのあたりが実装されていれば、今頃便利に利用していたかもしれない。マイナ保険証を普及させ医療のIT化を本気で考えるのならば、遮二無二突き進むのではなく保険証の基本機能を充実させてほしい。(内)

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