主張 医院のこれからをどう考えるか 承継か閉院かの選択を前に  PDF

 元日に起こった能登半島地震から3カ月が経ち、協会からも被災地へ支援に行った。被災された診療所はどこまで再開できただろうか? 閉院に追い込まれた診療所もあったかもしれない。2月に新型コロナ感染症の発生が石川県で最多となったが落ち着いただろうか?
 23年度の地区医師会との懇談会が終了した。参加した会の会長は世代交代した若い医師たちが多かった。好んでか、突然でやむなくか、いずれにせよ閉院せず承継されたわけだ。悩ましいことではあるがいつかやってくることである。
 協会は「新規開業を考える方の講習会」を開催している。医業経営コンサルタントの話では医院開業の成功は開院前の準備が9割と言われているが、コロナ禍以降は設備面で変化があり、開院してから事前の予想とのギャップに悩んだ方もいただろう。確かに開院前の準備は一苦労だった。しかし私が開院する時に先輩から言われたのが「開院より閉院の方がもっと大変」という言葉だった。
 最近「引退準備セミナー」受講の案内が届くようになった。医業承継・閉院のサービスである。閉院して不要になった機器の回収、販売やテナントの原状回復の他、承継する際には相手探しや交渉などを引き受けてくれるのである。すでに大阪府保険医協同組合ではセミナーを開き、このサービスを始めている。長年大阪で開業していた同級生は、息子が開業を望まなかったためオンライン資格確認義務化を機に閉院を決め、このサービスを利用した。親切にやってくれたと感想を漏らしていた。
 協会へもこういった問い合わせがあり、同セミナーの開催を検討中である。まずは家族と十分相談し、自分の方針をしっかり立てておくべきだろう。

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