乗り鉄ドクの趣楽悠遊 vol.16 村上 匡孝(綴喜)  PDF

etSETOra(エトセトラ)
呉線の車窓はほんまにええ瀬戸ら (JR西日本)

 「えっと」は「たくさんの」「多くの」の広島弁。「セト」は瀬戸(内)。「エトセトラ」はラテン語で「などなど、その他いろいろ」です。車名「エトセトラ」は「多くの瀬戸内の魅力を感じることができる自分だけの自由な時間を楽しむ旅」というコンセプト(写真1)。「etSETOra」の文字をつないで創られたロゴマークには、人、街、食、伝統、風習などさまざまな思いが一つのレールでつながり、また違う地域を訪ねることでさらに大きくつながる…思いがこもった観光列車です(写真2)。
 車両は国鉄時代のキハ40系気動車をリノベートした2両編成。海側は窓に向いて座るカウンター仕様、山側はテーブルを挟み2席が向かい合うBOX仕様で、1号車にはバーカウンターがあります。座席は全てグリーン席の快速列車。外観は瀬戸内海の「青」と海岸線から見える波の「白」から、瀬戸内の穏やかな風景を彷彿とさせるシックで味わい深いデザインです。
 呉で、映画「この世界の片隅に」ゆかりの聖地や旧海軍の史跡を巡る早朝散歩をしてから、etSETOraに乗車して尾道まで趣楽悠遊の旅です。昼便なので洋菓子やスイーツが提供されますが、車内販売ではオイスターダークエール(牡蠣を殻ごと煮沸釜に投入して作られた黒ビール)やはっさくビール(大崎下島産のはっさくを用いた爽やかなビール)、瀬戸田レモンCHU−HI(瀬戸田島のレモンを使った焼酎ハイボール)が用意されていて、呉線自慢の瀬戸内海の景色を眺めながらグラスを揺らします(写真3)。路線には、呉(軍港や海軍の史跡、戦艦大和ミュージアム、映画やアニメの聖地巡礼etc)、竹原(江戸時代の名残のある伝統的な街並み、NHKの朝の連続テレビ小説“マッサン”の舞台)、三原(お城や蛸の味わい)、尾道(大林宣彦監督の映画〈尾道三部作〉の舞台で有名な海と山が接する坂の街)など立ち寄り観光の名所も満載です。
 今回の推し地酒。雨後の月 純米大吟醸(相原酒造、呉、広島)、小笹屋竹鶴 生もと 純米吟醸原酒(竹鶴酒造、竹原、広島)。
 (etSETOraエトセトラ 2022年7月乗)

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