医薬品問題で代議員会アンケート 長期収載品の選定療養化「反対」8割―対象87人、回答67人(回答率77%)―  PDF

 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)に「選定療養」を導入し、後発品との薬価差の一部を保険外(差額負担)とする方針が年末の大臣折衝で決められた(24年10月から施行)。後発品の発売後5年以上経ったもの、または後発品の置換率が50%以上となった先発品を使用した場合の保険給付は、後発品の最高価格帯との価格差「4分の3」のみを対象とする(4分の1が患者追加負担)というもの。医療周辺のアメニティ部分が対象とされてきた選定療養を、医療の中核部分に広げる動きはこれまでにも200床以上の病院の初・再診などであったが、今回は長期収載品が標的にされている。許してしまえば、保険給付のあらゆる分野で差額負担を広げられていく恐れがあり、協会は改悪に反対している。
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 長期収載品に選定療養を導入し差額負担とすることについて、「反対」81%に対し「賛成」は4%で、「分からない」は15%であった(図1)。
 「反対」理由を複数回答で聞いたところ、「患者の先発品選択にペナルティのような負担を課すべきではない」が74%で最も多く、次いで「医薬品供給不足で後発品自体が安定供給されていない」72%、「医師の処方権を侵害し、国民皆保険制度の根幹を脅かす」63%、「先発品と後発品は『同等』であっても『同じ』ではない」56%、などであった(図2)。
 「賛成」理由では「先発品を希望する人はある程度自己負担増があってもよいと思う。国は後発品の品質をしっかり管理すべき」との記載があった。
 長期収載品への「選定療養」が院内処方にも導入された場合、院内処方を行っている会員に続けるかを聞いたところ、41人が回答し、「やめない」が61%で、「周辺に調剤薬局がなく続けざるをえない」「やめる」が同数で17%であった(図3)。現時点で院内処方を行う医療機関が除外されるかどうかは不明。
医薬品供給不足 国から国民へ説明を
 後発医薬品を中心に供給不足(不安定化)が続いており、短期間で急速に改善が見込める状況ではないが、協会は国に改善を求めている。
 これについて、今国に対して改善を求めたいことを複数回答で聞いた。「薬剤の供給不足(不安定化)について国が責任を持って国民に説明してほしい」が76%で最多、「国内に生産ラインを有する企業を優遇して国内生産力を上げてほしい」が51%、「大規模チェーン薬局等が行っている総価取引による後発品の不当な値引き要求等をやめさせてほしい」40%など(図4)。
 以下、自由意見より抜粋。▽良い薬については、あまり安価にし過ぎて製造を止めるメーカーが出ないようにしてほしい▽後発品の価格を無理に下げている限り、薬価の低い薬品の供給は蔑ろになる。薬価決定プロセスに問題があり行政がもたらした問題と思う▽大手製薬会社、大手薬局チェーン店の利益優先の営業に強い規制と公平な薬剤配布を▽不足する処方薬成分が一般市販薬として薬局で多量に店頭に並んでいる。明らかに自己負担化狙い▽医師が不必要な処方をやめるべきと考えます。不要な抗菌薬を漫然と処方しながら医薬品不足を訴えるのはやめましょう――。

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